企業にはそれぞれに風土があり、そこで働く従業員は仕事の内容だけでなく企業風土によっても働きやすさが違ってきます。

いわゆるトップダウン的な経営スタイルで上手くいっている企業は多く存在しますが、ここでは周囲に忌み嫌われるような度を越したものをワンマン経営、あるいはワンマン経営者として捉え、共通する特徴を見ていきます。

ワンマン体質になってしまうと、社内の雰囲気が悪くなり企業としての活力を落としてしまう原因になるので注意が必要です。

パワハラをしている意識がない

パワハラをしている意識がない

経営者は苦しい状況を自分の力で潜り抜けてきた経験から、他人に対してもそのような姿勢を求める傾向がどうしても強くなります。

「これくらい頑張るのは当然」「こんなことで弱気を見せるなんてありえない」と考え、他人に対しても自分と同等レベルで物事を要求しがちです。

人間はそれぞれ強み、弱みがあってストレスへの耐性なども異なりますので、経営者と同等の従業員というのは本来いないはずですが、どうしてもそこを求めてしまうわけですね。

そしてそれが満たされないと、できない社員に対して暴言をはいたり、ヒートアップして人格を否定するような言葉を投げかけてしまいます。

これに自分で気づいたり、周囲から指摘された場合に自分で修正できれば良いのですが、このような行為をパワハラだと気づけない、知っていても、指摘されても改めない経営者だと、社内の雰囲気は確実に悪くなっていくでしょう。

従業員に支払う給料を苦痛と感じる

従業員に支払う給料を苦痛と感じる

経営者は従業員と同じ目線に立つ必要はなく、だからこそ経営者は従業員にはない目線で物事を捉えることができます。

それでも、社員を大切に扱う経営者であれば自社を盛り立ててくれる社員に対して一定の感謝の気持ちを持てるものです。

ワンマン経営者はこうした感謝の念を持つことができず、反対に「おれが雇ってやっている」「給料を払ってやっている」と考えてしまう人が多いようです。

そのため社員に給料を支給することに苦痛を感じ、できるだけ給料を払わずに済む方法を考える傾向にあります。

社員の給料は確かに経費の一つであり、経費削減は悪いことではないのですが、削減の目的がただ単に「愚かな社員どもに給料を払いたくない」ということだと自社の運営が後ろ向きになってしまいます。

指示に一貫性が無い

指示に一貫性が無い

状況に柔軟に対応する、と言えば聞こえが良いものの、言うことがころころ変わる、指示に一貫性が無いと部下が困惑してしまいます。

気分次第で社長の言うことがころころ変わるようだと、経営自体に影響が出ることも考えられます。

指示を変更するのであれば、なぜ変更するのか理由も説明し、部下の納得を得られるようにしたいものです。

イエスマンだけを身近に据えがち

イエスマンだけを身近に据えがち

耳障りな苦言を呈する部下は経営者にとって気持ちの良いものではないかもしれません。

しかし自分とは違う意見を提供してくれる存在は、時に会社が間違った方向に進むことを抑制してくれる作用があります。

多くの経営者が「苦言を呈してくれる存在を身近に置くべき」と言っているのはこのためです。

自分の意見を押し通したいワンマン経営者は苦言を呈する人を遠ざけ、イエスマンだけを身近に据えがちなので、ともすると会社を間違った方向に導いてしまう危険があります。

現場の実情を知らない(知れない)

現場の実情を知らない(知れない)

悪い意味で自分の好き勝手に会社を動かすようなワンマン経営者の場合、現場の実情に合わない経営をするために社員の不満を買い、現場レベルでの仕事に支障が出てきます。

現場の実情を知ろうともせず「社員は俺の言うことを聞いていればいいのだ」という姿勢を貫けば、必ずどこかにひずみが生じ弊害がでてきます。

またワンマンゆえに現場から正しい意見が上がってこず、そのために経営者が事情を知れないということもあるかもしれません。

昇進などの人事制度を一人で握る

昇進などの人事制度を一人で握る

昇給や昇格などの人事は公平性が保たれないと社員はやる気をなくしてしまいます。

そのため人事評価制度は不公平感がでないよう、一般に望ましいとされる策定ルールに従って定める企業がほとんどです。

ひどいワンマン経営者は自分一人で人事の機能を掌握し、気に入った人物だけを優遇するなどの行為をすることもあります。

社長にゴマをすった者がいい思いをでき、できなければ仕事ができても評価されないとなれば、あっという間に社員の気持ちは離れていきます。

社員の残業が当たり前になっている

社員の残業が当たり前になっている

ここからはワンマン経営者がいる会社そのものにありがちな特徴も見ていきます。

気分次第で社長の指示がころころ変わると、現場の社員の仕事が大幅に増えるので残業が多くなります。

また経営者は自身のビジネスを立ち上げた時、仕事の時間を区切るということはあまりしません。

生活が懸かっていますから、何時間でも体がもつ限り働くのです。

労働基準法などの規制があるとはいえ、本質的に経営者は自分と同じ苦労を社員もすべきと考えることが多く、実際に社員の残業が続くことで仕事へのモチベーションを無くし、会社の活力が失われます。

社内の雰囲気が重苦しい

社内の雰囲気が重苦しい

生き生きとした活気のある会社は良い方向に導かれるものですが、ワンマン経営の元では歪な緊張感から社内の雰囲気は重苦しいものとなります。

社員同士の仲も良好とは言えず、自然な会話も生まれないため風通しの悪い風土となるでしょう。

社員にチャレンジ精神が生まれない

社員にチャレンジ精神が生まれない

ワンマン経営の元では、出る杭は打たれ何もしない社員の立場が安定しがちです。

一般社員の旺盛なチャレンジ精神が会社を盛り立てる活力となるところ、ワンマン経営が敷かれた企業風土の元では社員のチャレンジ精神もなえてしまい、会社全体が後ろ向きになります。

まとめ

まとめ

本章ではワンマン経営者やそのような経営者がいる企業に共通する特徴をいくつか取り上げて見てきました。

ここではワンマン経営を望ましくない経営体制と捉えてお話ししてきましたが、ワンマン的体質であってもそれが悪い方向に働かなければ、いわゆるトップダウンの経営スタイルとして良い面が出る期待も持てます。

例えば経営判断が早く波に乗り遅れない素早い事業運営が可能だったり、トップダウン経営が社員の了解のもとに行われていれば、全社員一丸となって力強い事業展開が可能になります。

社員に忌み嫌われるような悪い意味でのワンマンだと会社全体が良くない方向に進みがちになるので、自身の普段の姿勢でもし見直せるところがあれば、改善できるように努力してみましょう。