安倍政権から長く叫ばれていたデフレからの脱却を叶えるため、政府や日銀はそれぞれ必要な政策を続けてきました。
日銀は長くマイナス金利政策を取っていましたが、今般これが解除されることとなり、賃金の上昇と合わせて経済の好循環が確立できるのではないかとの期待が持たれています。
今般のマイナス金利解除で国民としては預金の金利がどうなるのか気になるところです。
本章では普通預金金利の動きについて見ていきたいと思います。
春闘の結果を踏まえついにマイナス金利解除へ
日銀は以前からマイナス金利解除の布石を打っていましたが、決定打となる春闘の動きがどうなるのか見極めるまでは確定的なアナウンスを控えていました。
結果的に大企業を中心に大幅な賃上げが実現することになり、この結果をみて日銀はついにマイナス金利の解除を正式に表明したところです。
マイナス金利解除の表明が三月中旬、これを受けてまずはメガバンクが金利改定の動きを見せます。
大手行の金利引き上げに地銀が追随
銀行業界のシステム上、日銀の政策変動はまずメガバンクに伝わり、その次に地方銀行等の金融機関に波及します。
日銀のマイナス金利政策解除を受けて三菱UFJ銀行などのメガバンクが反応し、これに地銀が追随します。
定期預金については各行で、また5年10年などの期間商品で利率が違ってきますが、普通預金については概ね年0.02%程度の数字が多く並ぶことになりました。
これまでは普通預金の金利は年0.001%程度でしたから、一気に20倍の金利上昇ということになります。
0.02%という数字は決して高くはないのですが、元が元だっただけに反動が大きく感じられますね。
ネット銀行はペイペイ銀行が先行
一方ネット銀行ではペイペイ銀行が先んじて動きを見せています。
ネット銀行は一般の銀行よりも多少金利が高いメリットがあり、今回の利上げでペイペイ銀行は普通預金の金利を年0.03%に引き上げています。
一般銀行よりも有利な数字ですので、金利差メリットを感じて預金を増やす人もいるかもしれませんね。
金利引き上げで個人の利子所得が増加するも
金利が上昇するということで、預金を保有する国民としては嬉しいと感じる人が多いでしょう。
ある見立てによれば、国内個人の普通預金の残高は442.5兆円ほどで、普通預金の金利が0.02%に上昇することで金利にかかる利息利益が841億円増加する計算になるという指摘もあります。
数字的には相当大きな数字見えますが、普通に働いて得られる雇用者報酬の額と比較すればさほど大きな数字ではないという評価です。
個人レベルの所得として利息利益が大幅に増えるということではないので、これで生活が楽になるという実感を得るには至らないということでしょう。
住宅ローンはどうなる?
金利の変動に関しては住宅ローンへの影響も心配されます。
金利が上がるということは住宅ローンの利率も上がる心配がでるからです。
固定金利商品を選んでいる人は影響がありませんが、変動金利型を選択している場合は影響が出る可能性があります。
日本は長く超低金利の時代で、ベクトルとしては徐々に金利が下がる可能性を考えて変動金利を選択する人が多かったのは事実です。
これが今般の金利上昇ということで相当気になっていると思いますが、結論から言うとすぐさまローン金利に影響が出ることはないようです。
住宅ローンの金利は短期プライムレートの影響を強く受けるとされています。
短期プライムレート(短プラ)とは、銀行が企業に融資する際の最優遇貸出金利のうち短期貸出にかかる金利基準のことを言います。
今回、メガバンクの短プラのレートは据え置かれることが決まっているので、地銀でも大きな変動はないと予想されます。
従って住宅ローンの金利にも影響はないだろうというのが大筋の見かたです。
日銀の今後の動きに注目
今のところ住宅ローンの金利に影響は出ないと思われますが、今後さらに利上げが実施されれば短プラのレートも上昇し、もしかしたらローン金利にも影響が出てくるかもしれません。
日銀が近々にさらなる利上げを実施することはないだろうという見方が濃厚ですが、来年以降の動きについてはさらに利上げが実施されると見る専門家もいます。
今後数年間は日銀の金利政策の動きに注目です。
まとめ
本章では日銀のマイナス金利解除で普通預金の金利がどうなるか見てきました。
三月の利上げ発表から程なくして、まずメガバンクの利上げ発表、そして三月末までには地銀も利上げの動きを見せています。
普通預金については概ね年0.02%という数字に収まり、ネット銀行の一部ではそれよりも少し上がって年0.03%という数字も出ています。
今回、住宅ローンへの影響はないと見られているのでローン利用者も一安心です。
今後しばらくは日銀の金利政策に注目が必要ですので注視していきましょう。
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