実業家と起業家の違いを説明するのは難しいものです。

なぜなら、ある条件がそろった時だけ、「実業家」であり「起業家」になるからです。

その条件とは「実業で新しいビジネスを起業したとき」

実業家や起業家について、一般的なイメージと本来の意味は大きく異なります。

実業家と起業家の違いについて理解するには、それぞれの本来の意味や特徴を知る必要がありますので、詳しく解説していきます。

実業家の意味や特徴

実業家の意味や特徴

実業家の意味は、「生産や販売に関わる事業を行っている人」「商業・工業・金融業など、経済的事業を営む人」とされています。

商業・工業・金融業など、経済的事業を営む人。
引用:goo国語辞典

実業家(じつぎょうか)は、実業すなわち生産、流通、販売などの過程における事業を行う人物。
引用:ウィキペディア

ですが、「実業家」=「成功者」という言葉のイメージや、「実業」の線引きがあいまいなたことから、「実業家」に含まれる人は分かりにくい、という特徴があります。

なぜなら、「実業」に含まれない投資家が実業家というイメージがあることや、実業と言えるかどうかあいまいな金融業が実業家とされているからです。

「実業」の対義語として「虚業」がありますが、投資は「虚業」です。

そして、金融業は「実業」と「虚業」のどちらになるのか結論が出ていません。

そもそも、「実業家」の「実業」は、「農業・商業・工業・水産業」などの、生産や販売に関わる事業。

農業・商業・工業・水産業など、生産・販売に関わる事業。
引用:goo国語辞典

実業の定義に記載されている事業者は問題なく「実業家」と考えることができます。

実業の定義から、言葉のイメージで混同されやすい「投資家」は実業家とは言えないでしょう。

一方で、「実業」の定義に記載がなく、生産や販売とは結びつきにくい金融業は「実業家」の定義に記載がある場合と、記載がない場合があります。

「実業家の定義に記載がある場合と、記載がない場合がある」金融業が、実業家としてどのような事業者が含まれるのか分かり辛いものとなっている原因に。

したがって、実業家は「生産、流通、販売などを行う事業者」のことで、「金融業」は実業家に含まれるかどうか意見が割れる場合があるということになります。

起業家の特徴や意味

起業家の特徴や意味

起業家は「世の中にない、新しい事業」を自ら始める人のことを指します。

起業家(きぎょうか)とは自ら事業を興す(起業)者をいう。
引用:ウィキペディア

新しく会社を創設する人と混同されがちですが、起業家は単に会社を作る人ではありません。

ウーバーイーツやメルカリなど、事業のジャンルは問わず、市場にない新しいビジネスを始める人のことを起業家といいます。

必ずしも「経営者」=「起業家」ではありませんが、一般的に、起業した人がそのまま経営のトップとなりますので、社長や個人事業主を起業家と呼ぶケースがほとんど。

「経営者」=「起業家」といったイメージが強いものですが、フランチャイズの経営者や、事業継承で経営者となった人は起業家とは言えません。

また、新しいビジネスを起業しては売却を繰り返す、起業を何度もする人を「起業家」と表すことや、創業から比較的新しい経営者を「起業家」というような特徴もあります。

少々、イメージが拡大しつつありますが、根本は「全く新しいビジネスを始めた人」が、「起業家」です。

ほかにも似ている○○家

ほかにも似ている○○家

実業家や起業家以外にも○○家と呼ばれる経営者が複数あります。
どのような言葉があるのか紹介していますので、それぞれ確認してみましょう。

①事業家

事業を企て、これを経営する人。また、事業の経営に巧みな人。
引用:goo国語辞典

経営をうまく行い、会社規模の拡大を行う人のことです。

起業家が0→1を行うのであれば、事業家は1→100を行います。

②企業家

企業をおこしたり、企業の経営に取り組んだりする人。企業者。
引用:goo国語辞典

起業家と企業家は読み方も意味も非常によく似ています。

違いは起業が「事業」を対象とし、企業は「会社」を対象としている点です。

新しいビジネスを興すのが「起業」ですので、会社を立ち上げなければ「企業」とはなりません。

③創業家

創業者の一家。創業者につながる一族。
引用:goo国語辞典

創業”家”は、創業者の親族です。

創業者は会社や店舗を設立した人。

まとめ

実業家と起業家との違いは?特徴と意味を分かりやすく解説_まとめ

実業家と起業家の違いのポイント次のようになります。

・実業で新しいビジネスを立ち上げたとき「実業家であり起業家」
・実業以外で新しいビジネスを立ち上げたとき「起業家」
・実業で既存のビジネスを立ち上げたとき「実業家」
・実業以外で既存のビジネスを立ち上げたとき「どちらでもない」

実業を行っている経営者であれば「実業家」ですし、新しいビジネスを立ち上げれば「起業家」です。

実業の新しいビジネスを事業を立ち上げたときは、「実業家であり起業家」になります。

イメージとしては、「起業家」の中に「実業家」が含まれると考えてみると分かりやすいでしょう。

今回の解説で、今までの「実業家」と「起業家」のイメージが変化したかもしれません。

ですが、正しい意味を理解しておくことで、言い間違いや誤解を未然に防ぐことができるでしょう。