企業経営者で経理面が得意であれば会計専門の人員を雇わずに済んだり、会社の経営状況をトップが詳しく把握できることでよりスムーズな経営が可能になります。

実際には経営者で経理が得意と言える人はあまりいないのが現状で、ファクタリング取引においても会計処理の仕方が分からずに利用に二の足を踏んでいる方もいるかもしれません。

本章では経営者の方に安心して利用頂けるように、ファクタリング取引における会計処理について解説していきますので、ぜひ参考になさってください。

■会計の基本原理と仕分けのポイント

電卓を指差す笑顔の女性
経理部門では日々の取引を簿記に落とし込むために「仕分け」という作業を行っているので、普段は担当者に丸投げしているという方もこの機会にイメージを掴んでおきましょう。

仕分けでは「勘定科目」を使い、仕訳帳に日々の取引を記入していきます。

仕訳帳は左側が「借方」、右側が「貸方」になっていて、取引によって動いた現金や資産などの動きと金額を記入します。

この時、左右の貸方、借方の金額は必ず一致させるのがポイントです。

例えば会社の備品を現金5000円で購入した場合は以下のように仕分けされます。

借方

貸方

消耗品費5000

現金5000

上記の仕分けでは会社の備品(消耗品)が5000円分増え、そのために現金が同額分減ったことが見て取れます。

ファクタリング取引は備品の購入より仕分けが少し難しくなり、二社間取引と三社間取引でも多少異なります。

まずは二社間取引における仕分けから見ていきます。

■二社間ファクタリング利用時の会計処理

指を2本立ててこちらを見るスーツの男性

ここでは二社間ファクタリングを利用する場合の仕分けを時系列で確認していきます。

まずファクタリング実施の前に、取引先に自社の商品を購入してもらった際に最初の仕分けが行われます。

ここでは50万円の商品を掛け取引で買ってもらったとして、以下のような仕分けがなされます。

借方

貸方

売掛金50万円

売上50万円

次に、売掛金が入金される前にファクタリング業者に売掛債権を譲渡しますが、契約の段階で即時に買取代金を受け取らない場合は以下のように処理します。

借方

貸方

未収入金50万円

売掛金50万円

その後ファクタリング業者から買取代金の入金がなされた段階で以下の仕分けを行います。

ここでは手数料を10%として5万円支払ったとします。

借方

貸方

預金45万円

未収入金50万円

売掛債権売却損5万円

もし、契約段階で即日にファクタリング業者から代金を受け取った場合、未収金での処理過程を省くことができ、上二つの仕分けをまとめて以下のように処理することができます。

借方

貸方

現金45万円

売掛金50万円

売掛債権売却損5万円

もし振込で受け取るのであれば貸方の勘定科目は「現金」の代わりに「預金」を用います。

次に、二社間ファクタリングでは通常通り売掛先企業から入金が入るので、その段階で以下の仕分けがなされます。

借方

貸方

預金50万円

預り金50万円

売掛金の所有権はファクタリング業者に移転しているため、貸方は「預り金」の勘定科目を用います。

最後に、ファクタリング業者に売掛金(預り金)を移転した際に以下の仕分けを行います。

借方

貸方

預り金50万円

預金50万円

以上が二社間ファクタリングを利用した場合の仕分け方法です。

■三社間ファクタリング利用時の会計処理

指を3本立ててこちらを見るスーツの男性

次に三社間ファクタリングを利用する場合の仕分けです。

こちらは取引過程が二社間取引よりもシンプルです。

前項を踏襲して取引先に50万円を売り上げたと仮定し、その後にファクタリングに臨むシチュエーションを時系列でみていきます。

三社間取引では通常当日中の代金受け取りはできないので、ファクタリング契約を結んだ段階では未収金で処理を行います。

借方

貸方

未収入金50万円

売掛金50万円

そして、ファクタリング業者から買取代金が入金された時点で以下の仕分けを行います。

借方

貸方

預金45万円

未収入金50万円

売掛債権売却損5万円

上記は同じく手数料10%で5万円の想定です。

このように三社間ファクタリングでは売掛先企業から自社に入金された際の仕分けと、その入金された資金をファクタリング業者に移転する際の仕分けが不要になり、その分簡単です。

なお手数料にかかる勘定科目「売掛債権売却損」は、使用している会計ソフトによっては使えないこともあります。

その場合は代わりに雑損失、あるいは支払手数料といった勘定科目で代用して構いません。

■ファクタリングは消費税の考慮は不要

机越しに指でバツを作るスーツの男性

よく聞かれるのが消費税の扱いです。

ファクタリングは法律上の性質として債権の譲渡取引にあたり、消費税の課税対象から外されています。

ファクタリング業者に支払う手数料にも消費税はかからないので、消費税負担を考慮する必要はありません。

悪質な業者は「手数料には消費税がかかる」など、利用者の無知に付け込んで余計な費用を徴収しようとする所もあるようです。

そうした業者に惑わされないよう、利用者側も正しい知識を持って損をしないように注意してください。

■まとめ

まとめ

本章ではファクタリングを利用した場合の会計処理について見てきました。

会計処理では仕分けという手段を用い、勘定科目を使って各々の取引を記録していきます。

ファクタリング利用時の仕分けは二社間取引と三社間取引で勝手が異なり、二社間取引では売掛金の動きが三社間取引と比べると複雑なため、仕分けもその分手間がかかります。

三社間の場合は取引工程がシンプルなため仕分け作業もそれだけ手間が省けます。

普段は会計処理をスタッフに任せている経営者の方も、余裕があったら取引の際に頭の中で仕分け作業がイメージできるようにしておくと良いかもしれません。