事業資金の調達手段として近年検討されることが多いのがクラウドファンディングです。
広く国民から小口の資金を募り、まとめて大きな活動資金にすることができます。
金融機関の融資に頼らずして資金確保が可能なクラウドファンディングは起業家やスタートアップ企業の方が要注目の分野です。
この回ではクラウドファンディングの仕組みや構造を理解しながら、向いている事業について考えてみましょう。

■クラウドファンディングの仕組みと型

クラウドファンディング

クラウドファンディングは以下のようにいくつかの型があります。

①購入型

資金提供をしてくれる人にリターンとして自社の商品やサービスを提供するものです。
資金提供者は金銭的なメリットを受けることはできませんが、欲しいと思える商品や体験したいと思うサービスを購入する感覚で参画します。

②融資型

資金提供者がモノやサービスではなく金銭的なメリットを受けられる型で、融資に伴う利息利益を享受する形です。

③寄付型

金銭的、物質的なメリットではなく、「応援したい」という気持ちで寄付をするタイプです。
事業者は事業活動報告やお礼のメッセージを送るなどして感謝の気持ちを伝えるのが一般的です。

④株式型

株式会社が用いることができる型で、資金提供者には非公開株を提供して株主になってもらいます。
比較的大口の資金提供者が多く、多くの資金が必要なケースで活躍します。

■クラウドファンディングのメリットを生かせる事業とは

新事業を表すイメージ

実際のところ、クラウドファンディングは業種を問わず様々な事業者や起業家が利用しています。
向いていない事業は無いと言えるくらいに幅広い利用が可能ですが、クラウドファンディングのメリットを生かせる事業がどのようなものか考えてみましょう。
まず購入型の場合、提供予定の製品やサービスの需要が多くあれば、応分の資金提供意思が集まるはずです。
例えば地酒の開発や、地元食材を使ったラーメン店の開業などで成功例が多くあります。
融資型は金銭的メリットが糧になるものですから、商品やサービスではなく単純に「儲け」が追及できる事業であれば問題ありません。
寄付型は「応援したい」という心理に訴えるものですから、社会貢献の色が濃い事業が訴求します。
女性の活躍を推進する事業や、子育てを応援するビジネス、高齢者向けの買い物難民を支える移動販売ビジネスなどで成功例が多くあります。
株式型は個人事業やスモールビジネスでは難しい規模の大きな事業展開に向いています。
当初提供されるのは非公開株ですが、株式上場を果たしたり、事業売却やM&Aなどを機に大きな利益につながることがあるので、より投資目線が強くなります。
投資型では難しい規模でも対応でき、スポーツクラブの運営や漢方薬の研究機関などで成功例があります。

■クラウドファンディングの可能性は無限大

可能性を表す画像

個別の事業種類を挙げるとキリがありませんが、総じて「人」「モノ」「金」の資源がない事業全般で資金確保が可能ですから、どのような事業種目でもクラウドファンディングは対応できます。
事業の種類というよりは、利用する側の問題としてファンを獲得するための企画力があるかどうか、努力ができるかという問題があるでしょう。
SNSで積極的に情報発信する姿勢は必須で、機動力、行動力のある経営者やスタッフがいないと資金提供者に魅力を感じてもらうことができません。
この意味で“待ち”の姿勢が強い事業者はクラウドファンディング向きとは言えないでしょう。
逆に積極的に動ける事業者であれば、事業の種類に関係なくクラウンドファンディングを大いに活用することができるでしょう。

■まとめ

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この回ではクラウドファンディングの仕組みや構造を確認し、向いている事業について考えてみました。
クラウドファンディングはいくつかの型があるので、その型に応じて資金提供者に訴求できる事業であれば目的を果たすことができるでしょう。
特別業種に捉われることはなく、積極的な活動ができて情報発信が上手くできればどのような事業でも有効に活用できます。
スタートアップ企業だけでなく、既存の企業でも「自社がクラウドファンディングを利用するとしたらどのような戦略でいくか?」を考えてみると面白いかもしれませんね。