経営者の高齢化による後継者問題はかなり前から方々で取り上げられている問題です。
国内企業が衰退し、ひいては国力低下にもつながる問題ですので後継者問題への対応は喫緊の課題です。
この回では中小企業の後継者問題について見ていき、解決方法についても解説します。

■国内企業の高齢化の現状

高齢化表す画像

東京商工リサーチの2021年度における調査では、全国平均の経営者の年齢は62.49歳という結果になっています。
また休廃業状態となった企業の経営者の年齢については、80代以上が20.0%、70代が42.6%、60代が23.3%というデータも出ています。
そして帝国データバンクによる2022年の調査では中小企業27万5,000社にアンケートを行い、57.2%の企業が後継者不足と回答しました。
後継者問題が顕在化すると、事業の停滞や経営不振から倒産へとつながるので、早急な対応が求められるところです。

■後継者問題の解決方法

事業継承

ここでは後継者問題への対処法を4つ挙げて見ていきます。

①親族内事業承継

経営者のこどもや兄弟などの親族に事業を引き継ぐものです。
早い段階から後継者を選定し、育成することでスムーズな承継が望めますが、近年は親族が事業引き継ぎを拒否するなど上手くいかない例が増えています。
適任者がいる場合は育成するのと並行して事業資産の譲渡についても考えておく必要があります。
相続の発生が予期される場合は相続財産となる株式や事業用資産などを後継者に無事相続させられるように手配が必要です。
遺留分などに配慮しながら、適切な遺産分配ができるように早くから資産の多様化を図っておくことも考えましょう。
他の相続人の取り分を確保できるようにしておかないとトラブル必至ですので、必要に応じて専門家に相談してください。

②親族外事業承継

親族がだめでも、自社の役員や社員に事業承継することもできます。
社内の人材であれば事情をよく理解していますし、事業内容への理解も当然あるので適任者がいれば大いに検討できます。
社内人材であれば普段から経営者と接触が多いので、人柄や経営センスなども感じ取れているでしょう。
適任者がいれば時間をかけて育成することを考えてみてください。
ただし候補者には自社の株式を有償で取得するための資金力が必要です。

③M&Aによる事業承継

第三者の企業に事業を売却することができれば、後継者候補の選定や育成などに時間や費用をかける必要はありません。
ただし企業の売却は思うようにいかないことが多く、中小企業の場合は売りたくても売れないことがあります。
M&Aを成功させるポイントとしては、交渉相手に自社の魅力を上手に伝える工夫が必要で、そのためには自社の企業価値を知ることが大切になります。
計画的な準備が必要ですから、余裕をもって専門家にM&Aの相談をすることが望まれます。

④ソフトランディングで廃業

どうしても事業存続が難しいと判断したら、残念ですが廃業ということも考えられます。
その場合、急な廃業を避けてソフトランディングを目指しましょう。
長く時間を共にした従業員の退職金の支給や転職先の確保なども経営者に残された最後の課題です。

■事業承継の相談先

相談窓口

事業承継問題の相談先としては各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターがあります。
相談は無料で、公的機関ですから安心して相談できます。
また中小企業庁もよろず支援拠点を全国に設置しています。
各地の商工会議所などと連携して経営相談に応じているので気軽に相談することができます。
顧問税理士や顧問弁護士がいる場合はより気軽に相談できますが、個別の士業で事業承継問題を専門に扱う所は多くありません。
普段の税務や法務と事業承継問題は全く異なる分野ですので、ノウハウや情報が集まる上記のような公的専門機関に相談するのがお勧めと言えます。

■まとめ

まとめ画像

この回では中小企業の後継者問題を取り上げ、解決方法についてもいくつか見てきました。
現状、国内事業者の高齢化はどんどん進んでいく見込みで、後継者問題が顕在化する企業が多く出てくると思われます。
国もこの状況は把握していて、支援に乗り出してはいますが、その性質上すぐに解決できる問題ではありません。
現場の事業者の立場としては、公的な相談先で情報収集をしつつ、社内、社外含めて後継者探しをすることになるでしょう。
M&Aについては先の相談機関でも情報を集約していると思うので、ぜひ一度話を聞いてみることをお勧めします。