個人事業は起業しやすく、小回りが利き自由度の高い事業展開が可能です。

今は大きくなった企業でも、最初は個人事業から始めたというケースはとても多いです。

法人よりも信用が劣るため資金調達がしにくく手段も限られますが、本章では個人事業主でも可能な資金調達方法について見ていきます。

別章では法人も含めた資金調達手段について解説しているので、そちらと一部重複する部分もあると思いますが、本章は個人事業だけを意識して構成しています。

個人事業に特化した本章も資金調達手段を「売る」「借りる」「募る」「その他」の4つの基本類型に分けて考えていきます。

「売る」資金調達

「売る」資金調達

①個人財産の売却

個人事業では法人経営のように会社と個人の切り離しがないので、個人の財産は全て事業用財産となり得ます。

必要であれば、個人財産で不要なものを片っ端から売却するとまとまったお金になります。

財産価値の高い不動産や流動性のある金券類などは良い候補になりますが、それだけでなくゴルフクラブセットや家財道具などでももちろんOKです。

通常のリサイクルショップでは換金率が悪いので、最近はフリマアプリなど利益を削らない換金方法が流行っています。

②在庫の処分

個人財産と事業用財産の区別が無い個人事業でも、物販の場合は自社商品については事業用財産として経理処理を行います。

ただこれも売れ残ってしまうとただの在庫となり、不要な自家財産と変わりません。

管理コストを考えると多少利益を下げても換金した方が良いこともあるので、在庫買取サービスを手掛ける業者にまとめて一括売却すると手間がありません。

もしくは、時間がかかりますが利益率を考えて在庫もフリマアプリなどで個別に捌いていくという方法も考えられます。

③売掛債権の譲渡

いわゆるファクタリングで、当社が得意とする売掛債権の現金化サービスです。

実は個人事業の場合、業界全体を見ると法人と違ってファクタリングは利用しにくい傾向にあります。

個人経営では債権の価額が小さいことも多く、その場合はファクタリング事業者側のリスク面が目立ってしまい取引に応じてくれないこともあります。

また個人事業主の取引相手もまた個人の場合、その売掛債権は信ぴょう性や安全性の面でリスクが高いためこれも取引NGの原因になります。

このように一般的には個人事業主のファクタリングは法人に比べると利用しにくい面がありますが、当社は個人事業主の方とも積極的に取引に応じております。

債権額も10万円~対応可能ですので、他社で断られた方でも諦めずに当社にご相談ください。

当社のファクタリングでは買い取り債権の購入代金は使い道に制限がございませんので、生活費などにも自由にお使いいただけます。

④手形の割引

個人事業者の方が手形で支払いを受けることもあります。

法人と同じように銀行や手形の割引業者に持ち込んで手形割引により現金化することが可能です。

「借りる」資金調達

「借りる」資金調達

①親族や友人からの借り入れ

法人よりもむしろ個人事業で積極的に検討したいのが親族や友人知人の助けです。

利息や弁済期限などで優遇してもらえるので、期待できる人がいれば利息の高い銀行融資などに優先して相談してみましょう。

②個人事業向けの公的融資

公的融資の助けは法人だけでなく個人事業にも用意されています。

現実問題として個人事業主には銀行のプロパー融資は消極的で利用できないことが多いので、資金調達では中小零細にやさしい公的融資が役に立ちます。

特に日本政策金融公庫は零細事業者にとってはありがたい存在になります。

他に信用保証協会や自治体の保証を付けた銀行融資も検討できますが、日本政策金融公庫と比べると柔軟性の面で多少劣ります。

③信用金庫や信用組合を利用する

非営利性が強く、助け合いの精神のもとに地元の中小企業を支える目的で設立されるのが信用金庫です。

地元企業であれば個人事業主も利用できるので、銀行より身近な存在に感じている人も多いです。

低金利ですが融資は比較的小口になります。

信用組合は根拠法が異なるものの、組合員の相互扶助を目的として信用金庫と同じように中小事業者を支援しています。

④個人事業向けビジネスローン

金利が高めながら無担保、保証人なしで迅速に融資を受けられるビジネスローンは、急な資金需要に対応できる貴重な手段です。

中には個人事業者専用のビジネスローンを提供している事業者もいるので、その場合は審査が通りやすくなります。

⑤個人向けカードローン

個人向けのカードローンでも資金の借り入れは可能です。

個人事業の場合、経理上は個人と事業の財産の区別はありませんが、個人向けのカードローンでは融資金の使用用途に制限が出ることがあります。

銀行系のカードローンでは、生活費には使用できても事業資金に使用できないこともあるので注意してください。

ノンバンク系のカードローンは比較的自由度が高く、事業用途に使用できる商品が増えています。

「募る」資金調達

「募る」資金調達

①クラウドファンディング

個人でも独創的なビジネスモデルや話題性のあるモデルを開発した人が、クラウドファンディングで資金を集めることに成功したニュースがテレビ等でたまに話題になることがあります。

手掛ける事業や扱う商品に魅力がありさえすれば、日本はもとより世界中から広く資金を募ることができます。

特に社会性のあるビジネスなどは人々の賛同を得やすい傾向にあるので、社会性を絡めたビジネスで独創性のある事業を考えている人は成功しやすいでしょう。

その他の資金調達手段

①助成金・補助金

個人事業者でも利用できる助成金や補助金もあります。

「ミラサポ」では様々な助成金や補助金を検索できます。

https://map.mirasapo.jp/search/

対象者の選択で「中小事業者」にチェックを入れると、個人事業でも検討可能なプログラムが検出できます。

助成金や補助金は利用条件に合致させることが難しいことも多く、使い勝手は必ずしも良いわけではありませんが、条件に合うものがあれば検討してみてください。