融資をお考えの際に、銀行以外の融資方法はあるのか、といった疑問をお持ちの企業様は少なくありません。

「銀行の融資では間に合わない」「他の企業で銀行から融資を断られた話を聞いた」といった、銀行融資に不安を感じている企業様もいらっしゃいます。

そこで、本記事では銀行融資以外の融資方法である「ノンバンク」での融資の種類や、ノンバンクの特徴について詳しく解説をしています。

銀行での融資以外の融資方法も知っておきたいという企業様は、本記事を読んで融資方法に幅を持たせ、チャンスで適切な融資方法を選べるようになりましょう。

ノンバンクとは?

文字通り「銀行ではない」企業のことです。もう少し具体的に説明いたしますと、銀行ででの口座開設や預金などの業務がなく、お金を貸すなどの与信業務のみを行う企業を「ノンバンク」といいます。

ノンバンクの仕組みは、ノンバンクの企業が銀行からお金を借り、銀行へ返す金利よりも高い金利で第三者へお金を貸し付け、その差額から生まれる利益を得ることで収入を得るといったものです。

ノンバンクと銀行の違い

■ノンバンクと銀行の違い

ここで一度、ノンバンクと銀行の違いを整理しておきましょう。それぞれの特徴について表にまとめているので、ご確認ください。

種類 ノンバンク 銀行
総量制限 ビジネスローンはなし(個人向けローンは年収の3分の1まで) なし
融資までの期間 最短即日 1週間~1ヶ月以上
貸出限度 300~500万円ほど 数億円
金利 5~20% 2~5%
法律 貸金業法 銀行法

ノンバンクと銀行の大きな違いとして挙げられる点は、「貸出限度額」です。

ノンバンクでは多くの企業への貸し出しを目的としているため、「貸し倒れリスク」の比率が高まります。そのため、貸出限度額は少額となっており、代わりに審査が緩く高金利です。

一方で銀行融資では高額な貸出限度額を設けており、貸し倒れリスクの回避のために厳しい審査基準となっています。

また、高額な貸出を行うため、金利は安く設定される場合がほとんどとなっています。

ノンバンクのメリット

ノンバンクのメリット

ノンバンクの大きなメリットには「資金調達までの期間が早い」「手続きが簡単」「審査に通りやすい」といったものがあります。

それぞれどういうことなのか解説をしていますので、一つづつ確認をしてみましょう。

①資金調達までの期間が早い

ノンバンクでは最短で即日、1週間以内の資金調達が可能な場合がほとんどです。

ノンバンクでは銀行に比べて審査が簡易的となっている点が、審査速度を早める要因となっています。

銀行では融資を受けるまでに、数週間以上の期間があることを念頭に置くと、大きなメリットと言えます。

②手続きが銀行に比べ簡単

ノンバンクでは銀行のような大型の融資ではなく、数百万円単位の少額融資です。

そのため、審査の基準のハードルは銀行融資よりも低く、必要になる審査も少なく済みます

よって、融資の手続きも簡易化されており、大きな手間をかけることなく手続きができます。

③審査が銀行に比べて通りやすい

上記の手続きが簡単でも述べた通り、審査のハードルは銀行融資よりも低く、審査の通過率もノンバンクは高いです。

ノンバンクでは主に、「決算書」から返済能力を予測して融資の判断をします。

銀行では審査の基準に「納税の証明書」「資金使途を確認する書類」「事業計画書」など、そのほかにも多くの審査基準となる書類があります。

銀行に比べ、審査基準となる書類が少ないことから、審査の通過率が高いといった結果につながります。

ノンバンクのデメリット

ノンバンクのデメリット

ノンバンクの大きなデメリットには「金利が高い」「融資に上限がある場合がある」「安全性に不安のある企業が存在する」といったものがあります。

それぞれどういうことなのか解説をしていますので、こちらも一つづつ確認をしてみましょう。

①金利が高い

ノンバンクの金利は銀行融資よりも数十%ほど高い場合がほとんどです。

ノンバンクは多くの企業への融資と、スピーディーな審査ができる反面、ノンバンク側の貸し倒れリスクは高まります。

その対策として、金利を高くすることで貸し倒れリスクの回避を行います。

リスク回避をする上で、数十%の金利は必要不可欠な数字ではありますが、明らかに金利が高すぎるノンバンク企業には注意が必要です。

②総量規制で融資の上限が低い場合がある

結論から言いますと、事業資金として融資を受ける場合の「ビジネスローン」では総量規制は例外として、上限は低くありません。

しかし、個人での融資ならば、融資金額は最大で総量規制で収入の3分の1までです。

個人事業主の方や、法人でも事業資金を事業主個人の懐から資金調達をしようと考えられている場合には注意が必要です。

③安全性に不安がある

ノンバンクには多くの企業があり、中でも知名度のない企業の安全性の確認が非常に難しい傾向にあります。

悪質な貸金業者、いわゆる「闇金」は、金融庁の「登録貸金業者情報サービス」に登録されていない、または、登録されている事業者と同じ社名や、貸金業者の登録番号を不正に使用しています。

同名の社名や、登録番号を使用しているサイトを見て、信用してしまう被害者少なくありません。

悪質な賃貸業者の手口が巧妙なため、ノンバンクの利用にはどうしても安全性に不安が残ります

ノンバンクの種類

ノンバンクの種類

ノンバンクに大きく5つの種類があります。しかし、銀行も行っているものも多数あるため、この融資はノンバンク、といった線引きはできません。

ここで紹介するノンバンクの種類には銀行も行っているものも含まれています。

ですが、ノンバンク系は銀行系の融資にくらべて金利が高めで、審査に通りやすいことを念頭において読み進めて参りましょう。

①消費者金融

消費者金融は「元サラ金」で、個人を対象とした少額の融資を行う企業です。

融資の利用使途に、これといった制限はなく自由に借りたお金を使うことができます。

また、消費者金融会社は「貸金業法にのっとり、財務局や都道府県に登録」を行わないと営業をしてはいけません。

貸金業法では利用者の多重債務を防止するために、金利の上限などの融資の基準が決められています。

補足として、登録を行っていない、または、不正に登録事業者の情報を使用して貸金業をしている企業は「闇金」です。利用の際には、金融庁の「登録貸金業者情報サービス」に登録されている事業者であることを確認しましょう。

②信販会社(個別信用購入あっせん)

個別信用購入あっせんは、利用ごとに審査のある融資です。

例えば、住宅ローンやカーローンなどの、利用に審査の必要な融資が当てはまります。

個別信用購入あっせんのシステムは、なにかを購入したいが手元にお金がない。

そういった場合に、審査を通過することができれば購入代金を信販会社が立て替えます。そして、利用者は分割で信販会社へ返済をするというものです。

③クレジットカード(包括信用購入あっせん)

クレジットカードは一定期間内の間に、決められた金額の範囲内の融資を行うものです。

クレジットカードのシステムでは、利用者は決められた金額以上の融資を受けることはできません。

一方で、決められた金額内であれば利用使途に制限はなく、カード作成時の審査以外での審査もありません。

そして、利用者は決められた金額の範囲内で、使った分の金額を返済していくというものです。

④住宅金融専門会社

住宅金融専門会社は、個人向けの住宅ローンを取り扱うノンバンクです。

現在は農林中央金庫とJAバンクの出資する「共同住宅ローン株式会社」の1社のみが存在します。

バブル崩壊までは全部で8社あった住宅金融専門会社は、巨額の不良債権を残して社会問題まで発展しました。そんな住宅金融専門会社は、「保証料不要」「団体信用生命保険料をローン会社が負担」「口座開設不要」といった特徴があります。

一方で、ノンバンクのため金利が銀行系の住宅ローンの金利に比べ、約2%ほど高くなります。

⑤リース会社

リース会社は、リース会社が利用者の代わりに設備などを購入し、利用者はリース会社へリース料を支払うというものです。

利用者は設備などの購入時にまとまった金額を用意する必要がなく、リース会社はリース期間中に購入金額を利用者から回収します。

購入物の所有権はリース会社にありますが、設備などの購入の手続きや保険料、税金の納付はリース会社が負担します。利用者にとっては購入時の負担が減るだけでなく、設備などの維持にかかる費用や手続きの負担軽減も可能です。

一方で、一般的な融資に比べて費用は高くなりがちです。

ノンバンクについてのまとめ

ノンバンクについてのまとめ

ノンバンクについてのポイントは以下の通りです。

・ノンバンクは文字通り、「口座開設や預金のない」といった銀行ではない企業で、融資(与信)のみを行う企業
・銀行は「銀行法」、ノンバンクは「貸金業法」で、そもそも根拠となる法律が違う
・法律が違うためノンバンクには様々で多くの企業がある
・ノンバンクの大きなメリットは「資金調達までの期間が早い」「手続きが簡単」「審査に通りやすい」の3つ
・ノンバンクの気になるデメリットは「金利が高め」「融資制限がある場合がある」「安全性に不安が残る」の3つ
・ノンバンクの種類には「消費者金融」「信販会社」「クレジットカード会社」「住宅金融専門会社」「リース会社」などがある

ノンバンクの利用は、その性質上から「取急ぎで資金調達をする必要がある」場合以外の利用は控えるべきでしょう。

なぜなら、ノンバンクを利用すると「金利が高い」「次の融資に不利になりやすい」「不安のある企業が多い」といったことから、会社として大きな挑戦をするときに必要な、銀行での融資に不利になる可能性が高くなるからです。

しかし、返済に不安がなく、直近のチャンスに挑戦するなら、早急な資金調達が会社に大きな利益をもたらす場合もあります。

ノンバンクの利用は、堅実な計画性をもって利用をしましょう。