自社の規模を拡大したい。そのような場合に「事業投資」という言葉を耳にすることもあるでしょう。
ですが、「事業投資」とはどのようなものなのか、イメージが難しいのではないでしょうか?
本記事では、「事業投資がどんなもので、なにをするとよいのか」ということが分かる内容となっています。
「事業投資」について、さっそく読み進めて参りましょう。
目次
事業投資とは
事業投資はなんらかの事業へ資金を投入し、利益をあげることをいいます。
なぜなら、事業投資が成功すれば、多額の収益を得ることができるチャンスがあるからです。
例えば、企業の買収や株式の購入、出資など多岐にわたります。
事業投資に明確な定義はありませんので、事業へ何らかの資金を投入し、利益を増やすことを事業投資と捉えてもよいでしょう。
事業投資の種類
事業投資には明確な定義がないことに触れましたが、利益の増やし方は大きく2つに分けることができます。
①キャピタルゲイン(売買差額)によって利益を増やす方法
②インカムゲイン(保有することで生まれる利益)によって利益を増やす方法
上記の2つの方法によって、事業投資で利益を増やすことが可能です。
それぞれについて、ご説明します。
①キャピタルゲイン(差額による利益)をメインにした事業投資
キャピタルゲイン(差額による利益)をメインにした事業投資は、価値の低い企業の買収や株式を買取り、出資された企業の価値が高まったときに売却して利益を得るものです。
キャピタルゲインによる利益は高額となり、多くの利益を得ることができます。
有名なものとして、ベンチャーキャピタルや、株式の売買(細かく分類すると「金融投資」)が。
出資先の企業が成長すればするほど売却時に、大きな利益を手にすることができます。
②インカムゲイン(保有中に得られる利益)をメインにした事業投資
インカムゲイン(保有中に得られる利益)をメインにした事業投資は、出資先の企業の価値が高めつつ、出資先の企業から取込利益得るものです。
キャピタルゲインほど多くの資金を一度に手にすることはできませんが、継続的な資金取得が可能。
株式であれば「配当」、企業・事業の買収であれば、「売上から一定の割合」を取り込むことができます。
自社の拡大や、長期的な資金取得を目的としたときに効果的な事業投資です。
それぞれの事業投資の仕組みをメジャー企業のビジネスモデルで解説
事業投資の種類は上記の2つがありましたが、実際にはどのように利益をあげているのでしょうか?
事業投資としてメジャーものとして以下の3つがあります。
・ベンチャーキャピタル
・総合商社
・投資銀行
これらのメジャーな事業投資を行っている企業が利益を上げるビジネスモデルの解説をして、仕組みについてご説明します。
①ベンチャーキャピタル(VC)の事業投資
ベンチャー企業やスタートアップ企業などの未上場企業を対象として投資を行い、上場後に売却(株式または事業)をすることで、出資額との差額で利益を得るものです。
大きなリターンが見込めますが、不発に終わったときのリスクも大きくなります。
そこで、経営コンサルで投資先企業の価値向上や、監視や指導でコントロールをしてリスクを軽減するベンチャーキャピタル企業もあります。
ベンチャーキャピタルを行っている企業は、「ジャフコ」「グローバル・ブレイン」など多くの企業が。
キャピタルゲインをメインとした事業投資をしているのが、ベンチャーキャピタルです。
②総合商社の事業投資
総合商社は他社の株式を買収して大株主として経営参加し、「ヒト・モノ・カネ・情報」を投資して、利益を上げるものです。
また、うまくいかないときは買収した企業の売却や精算も。
基本的には、買収先の価値の向上を目的とし、出資したぶんだけ利益として取り込む、インカムゲインをメインとした事業投資となります。
売却も行いますので、株式・事業の売却によるキャピタルゲインで収益を得ることも可能。
伊藤忠のファミリーマートのグループ化が有名で、総合商社には、三菱商事、住友商事、三井物産などがあります。
③投資銀行(IBD部門)の事業投資
投資銀行の事業投資は、買収したいと考えている会社のアドバイザーとなり、買収時の手数料を得るというもの。
直接事業投資をするものではなく、事業投資を仲介する立ち位置です。
投資銀行の行うことは、買収候補先の提案や金額の算出、資金調達法など買収に関するアドバイスなど。
野村証券や三菱UFJ銀行、日本政策投資銀行などが投資銀行に含まれます。
実際にできる事業投資の種類や利用方法
あなたが実際に事業投資をするのであれば、利用できるは以下の2つでしょう。(株式の利用は金融投資に含まれるので、今回は省きます。)
①他社の買収(M&A)
②新規事業や見込みのある事業への資金投下
それぞれの内容や利用方法についてご紹介していきます。
①他社の買収(M&A)
他社の買収(M&A)は他社の発行する株式の過半数を取得して、買収した会社の経営権を取得し、買収した会社をグループ傘下や子会社にする方法です。
事業投資として他社の買収を行うのは、以下のようなメリットがあるからです。
・事業の拡大や新規エリア、業界への参入が容易
・新規事業の立ち上げよりも簡単に事業の獲得が可能
・「ヒト・モノ・情報」を手間なく獲得できる
他社の買収は、あなたでも可能な事業投資の一つです。
他社の買収は以下の方法で可能となります。
・株式取得
・株式譲渡
・第三者割当増資
・株式交換
・事業譲渡
・会社分割
・吸収分割
・新設分割
②新規事業や見込みのある事業への資金投下
他社の買収以外の方法として、「自社で新規事業や見込みのある事業への資金投下」という方法もあります。
総合商社が「ヒト・モノ・カネ・情報」を投資するように、自社に資金的な体力がある場合、「ヒト・モノ・カネ・情報」を自社でまかないます。
ヒト:雇用者数の増加、有能な人材の募集など
モノ:機材の新規購入、レンタルなど
カネ:事業へ追加の資金投入
情報:最新情報や有用情報の取得など
ですが、自社に資金的な体力がない場合でも事業投資を行いたい場合も少なくありません。
そのような場合には「資金調達」が必要です。
まとめ
事業投資の種類や仕組みのポイントは以下の3つです。
・事業投資の種類は「キャピタルゲイン型」と「インカムゲイン型」の2種類に大別
・事業投資は「ベンチャーキャピタル」「総合商社」「投資銀行」など専門企業がある
・実際に自社でできるのは「他社の買収」と「自社への資金投下」
他社の買収で「購入時と売却時」の「差額による利益」か、「保有中」の「取込利益」で自社の拡大を狙う。
または、「自社へ資金投下」をして、自社の拡大を図ることが、自社でもできる事業投資と言えるでしょう。
自社で事業投資を行う場合、資金的に体力があり、万が一失敗しても会社が傾くことがないような場合で行うのが基本です。
しかし、ビジネスチャンスが目の前にあるのにも関わらず動かないのは、大きな機会損失となる場合も。
そのような場合には資金調達をして、事業投資を行うことも一つの手段です。
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