何事も0から1を生み出すのが非常に難しいとされ、ビジネスにおいては新規事業を立ち上げてスタートさせる際が最も困難を伴うとされます。
スタートアップを経験された方は同じ思いをされていると思いますが、資金調達の面では経営者の個人保証を求められることがほとんどで、これを非常に苦しく感じた方が多いでしょう。
この問題は国の経済発展にも影響するため、個人保証のハードルを下げる仕組みが望まれていたところです。
その仕組みが「スタートアップ創出促進保証制度」として導入されましたので、今回は本制度について取り上げて見ていきたいと思います。

■スタートアップ創出促進保証制度とは?

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従来、事業資金の融資を得るには経営者の個人保証が必須の状況となっており、これがために新規にビジネスを立ち上げようとする機運に水を差すこととなっていました。
もし失敗すれば経営者個人の生活まで破綻することになりかねないということで、起業家のやる気を削いでしまうわけですね。
これは日本全体にとって好ましいことではなく、むしろ経済の後退要因として問題になっていました。
しかし融資を振り出す金融機関の安全も考えなければならないため、どう両立するかが課題となっていました。
そこで国が整備したのが「スタートアップ創出促進保証制度」で、信用保証協会が公的な保証を入れることで金融機関の安全を担保し、同時にスタートアップ企業が融資を受けやすい環境を整えることになりました。
本制度は今後新たな挑戦者を後押しする起爆剤になると予想されます。
次の項では本制度の中身について見ていきます。

■スタートアップ創出促進保証制度の中身は?

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本制度は創業予定者だけでなく、創業後間もない事業者も利用することができます。
制度の骨子を以下にまとめます。

対象者 ・法人を設立する予定があり、事業開始について具体的な計画がある者

・中小企業にあたる会社で事業を継続しつつ、新たに会社を設立して分社化を図る具体的な計画がある者

・創業後5年未満の法人

・分社化後5年未満の法人

・創業後5年未満の法人成り企業

補償限度額 3500万円
保証期間 10年以内
据置期間 1年以内(一定条件を満たせば3年以内)
金利 金融機関所定
保証料 信用保証協会所定の創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せした保証料率
担保・保証人 不要
その他 ・創業計画書の提出が必要。

・税務申告1期未終了の創業者は創業資金総額の1/10以上の自己資金を有していること。

原則として会社を設立して3年目および5年目のタイミングで中小企業活性化協議会による「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」に基づいた確認および助言を受けること。

 

その他の項目で出てきた中小企業活性化協議会や、「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」については下の項で解説しています。

■利用の手続き・流れ

流れを表す画像

本制度を利用する場合、以下のような流れで進めることになります。

①創業計画書を作成し、金融機関に申し込む

②金融機関が与信審査を行う

③金融機関が信用保証協会に保証を申し込む

④信用保証協会が保証審査を行う

⑤信用保証協会が金融機関の保証を承諾する

⑥金融機関が融資を実行する

上記①の申し込みの際には創業計画書内に事業準備の着手状況や資金の調達方法、収支計画や取引の状況などの詳細を記載し、融資担当者がこれをチェックします。利用可能と判断されれば、信用保証協会に対する手続きを金融機関が行ってくれます。

■「ガバナンス体制の整備に関するチェック」の受診が必要

ガバナンスチェックを表す画像

上で出てきた「ガバナンス体制の整備に関するチェック」は、創業者の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に繋げることを目的として設定されたものです。
原則として会社を設立して3年目及び5年目のタイミングで金融機関から連絡が入ることになっていて、そのタイミングで中小企業活性化協議会に受診の申し込みを行います。
中小企業活性化協議会は各都道府県の商工会議所などに設置されているので、そちらを窓口として相談することになります。
この過程には信用保証協会も関与することがあり、必要に応じて専門家を派遣するなどの支援を受けることもできます。
面倒と思う向きもあるかもしれませんが、経営推進に一役買ってくれるはずですので、せっかくですから有効に活用しましょう。

■まとめ

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本章では「スタートアップ創出促進保証制度」を取り上げて、どのような制度なのか、支援の中身や利用方法などを見てきました。
我が国の慣行として事業性融資の際には経営者の個人保証が必須とされていたところ、その問題の打開策として導入されたのが本制度です。
これにより起業意欲が削がれることなく、果敢にチャレンジする起業家が増えることが予想されます。
これから創業を予定する人だけでなく、創業後5年以内の人も利用できるので、融資の際に何かと不都合が生じやすいスタートアップ企業はぜひ利用を考えてみましょう。

直接の相談は地域の金融機関で可能ですので、まずは付き合いのある金融機関の窓口で相談してみてください。