社債とは、企業が資金調達を目的として、投資家へ対して発行される債券です。
債券ですので、投資家サイドからみると「債券購入後、満期まで待てば利子で儲けることができる」ことになります。
ですので、企業からすると「債券発行後、満期になれば発行時の額に利子を付けて返済」しなければなりません。
したがって、金銭のやり取りとしては融資と同じような仕組みとなっているのが債券です。
そして、企業が発行する債券のことを社債と呼びます。
投資家と市場を通して資金調達をする方法で、銀行融資よりも低利率で資金調達ができるといったメリットが。
本記事ではほかにも、社債について「種類」や「発行方法」「発行時の注意点」などについて解説しています。
社債について、詳しく確認していきましょう。
目次
社債の種類
社債の種類には以下の5つのようなものがあります。
・普通社債(SB)
・転換社債(CB)
・ワラント債
・劣後債
・電力債
一つづつ確認していきましょう。
①普通社債(SB:)
一般の企業が発行する、広く認知されている様式の社債です。
冒頭での説明の通り、「満期になれば利子をつけて返済する債券」となります。
信用格付に応じて金利は異なり、格が高ければ金利は高く、低ければ金利が低いといった傾向にあるようです。
また、投資家にとっても国債よりも金利が高いといったメリットがあります。
②転換社債型新株予約権付社債(転換社債、非分離型ワラント債)
発行時に転換価額(決められた値段)で社債を株式に転換または、満期まで社債として保有し続けることのできる社債です。
発行時に新株予約権が付与されており、新株予約権の行使によって社債を株式へ変えることができます。
ただし、新株予約権を行使できる期間(転換請求期間)などの条件は発行時に決められていることに注意が必要です。
③ワラント債
新株予約権の付いており、あらかじめ決められた金額で株式を購入できる社債がワラント債です。
新株予約権がついているという点では転換社債型新株予約権付社債と同様ですが、ワラント債は転換ではなく「新株を別途購入」する必要があります。
投資家からみると、社債は満期で全額と利子を受け取ることができ、株価が上昇すればあらかじめ決められた額で購入できるといったメリットが。
④劣後債
弁済順位が低く、利回りの高い社債です。
弁済順位が低いというのは、発行元が破綻したときなどに、普通社債などよりも弁済されるのが後回しになるということになります。
高いリスクを負う代わりに利率が高く設定されているため、株式に近い性質をもった投資商品といえるでしょう。
⑤電力債
電力会社の発行する社債で、他の債権者よりも優先して弁済を受けられる「一般担保」という特殊な担保がついていることが特徴です。
社債の発行方法
次に、社債の発行方法についても見ていきましょう。
社債の発行方法には大きく分けて「公募債」と「私募債」があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
①公募債
公募債は「広く一般を対象に募集」をする方法です。
広くというのは「50名以上」を指し、一般は「不特定多数の一般投資家」のことを指します。
公募債には「社債管理会社の設置」や「有価証券報告書」「有価証券届出書」による企業の財務状況に関する情報開示などが必要とされ、手続きが煩雑です。
また、公募債は多くの投資家を対象としていることから大規模な資金調達のために用いられることがほとんどとなります。
②私募債
社債の発行方法には公募債のほかに、以下のような私募債があります。
少人数私募債 49人以下を対象
プロ私募債 適格機関投資家(銀行や証券会社など)向け、人数に制限はなし
銀行引受私募債 銀行に向けて発行する社債
私募債は大きく「50人未満の少人数」または「適格機関」が発行の対象となります。
また、公募債よりも手間や手数料が少ないため、中小企業で公募債よりも私募債の方が多く利用されていいるのが現状です。
社債発行の注意点
次に、社債の発行の注意点についても見ていきましょう。
社債発行の注意点には以下の3つがあります。
・借金、負債である
・リスケができない
・法律に従って進める必要がある
それぞれ詳しく確認していきましょう。
①借金、負債である
冒頭でも説明したように、社債の仕組みは融資と似ています。
そのことから、会計上でも「負債」となることに注意が必要です。
転換社債型新株予約権付社債のようにあとから株式となって「資産」となる場合もありますが、発行時は原則「負債」となります。
②リスケができない
社債には期日が決まっており、返済の期日を変更することができません。
加えて分割などもできないため、期日に元本と利子をまとめて一括で支払う必要があります。
そのため、綿密な計画を立てた上で、返済ができるように資金繰りを行わなければなりません。
③法律に従って進める必要がある
社債の発行には、法律に定められた条件を満たしたうえで、必要な手続きを取らなければなりません。
私募債ではその工程が公募債よりも少ないため、負担は少なくなりますが、公募債の場合は煩雑な手続きを一つ一つ進めていく必要が。
法律で定められていることなので、違法とならないように慎重にならざるをえません。
まとめ
社債についてのポイントをまとめると以下のようになります。
・社債は返済義務のある債券を発行する、融資のような資金調達方法
・社債の種類は5種類
・社債の発行方法は大きく分けて「公募債」と「私募債」の2種類
・私募債には「少人数私募債」「プロ私募債」「銀行引受私募債」の3種類がある
・社債は原則負債として計上される
・返済は元金と利子を一括で支払いとなるため、リスケができない
・会社法で定められている条件を満たさないと社債の発行はできない
社債での資金調達は「負債」となることに留意が必要です。
また、決められた期日に一括で返済をする必要があるため、スケジュール管理も綿密に立てた上で発行をしないと、リスケができないといった点にも注意をする必要があるでしょう。
ですが、財政状況が悪い場合は社債の発行ができないため、資金繰りを行いたい場合に社債は向いていません。
このようなことから、社債は経営状態が良いというのが前提で、事業拡大や設備投資などを目的として発行するのが最善だと言えるでしょう。
反対に、経済状況が悪化している場面では利用することにデメリットの多い資金調達方法でもあります。
資金繰りなどを目的とした資金調達を検討している場合で、売掛金がある場合には、ファクタリングを利用することで、負債を増やさずに資金調達を行うことが可能です。
負債をこれ以上増やしたくないものの、資金調達が必要な場合には、ぜひ、弊社までご相談ください。
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