税制分野は元々事業者にとって分かりにくく、しかも頻繁にルール改正が入るので厄介な存在です。

直近ではインボイス制度の導入が予定されていて、こちらへの対応で大変な思いをしていれる事業者の方も多いと思われます。

この問題に関しては制度導入の是非についていまだ多くの議論がなされていますが、インボイス制度の適用を受ける意志のある事業者は登録手続きを取る必要があるので、遅れないように対処が必要です。

本章ではインボイス登録について申請方法や期限などを解説していきますので、ぜひ参考になさってください。

■インボイス登録の期限は?

カレンダーと時計のイメージ
制度導入開始の2023年10月1日からインボイス制度の適用を受けたい場合、2023年9月30日までに必要な手続きを取ることが求められます。

以前は2023年の3月が期限でしたが、インボイスの制度自体の浸透が十分図られていないことや、制度適用を受ける、あるいは受けない場合に自社にどんなメリットやデメリットがあるのか、十分に把握できない事業者が多く、当初期限の3月になっても多くの未登録者がおり、申請期限が延長された経緯があります。

最初に期限を押さえましたが、インボイス登録をするかどうかは慎重に吟味が必要です。

慌てて登録してしまい損害を被ることが無いよう、次の項で注意点を確認していきます。

■インボイス登録にかかる注意点

注意喚起する女性のイメージ
インボイス登録をするということが実際どんな行為となるのか、詳しく知らないまま手続きを進めてしまう人もいるようで、これは大変危険なことです。

そもそもインボイス登録は発注者側が仕入れ税額控除という税金処理の優遇ルールを使えるようにするためのもので、受注者側のために作られたものではありません。

発注者となる取引先を逃さないように取りあえず登録はしておくか、という安易な考えで進めてしまうのは危険です。

実際に取引先に要請を受けて、デメリットを知ったうえでインボイス登録をするなら良いのですが、そうでなければまずは発注者側の意思を確認してからでも遅くありません。

インボイス登録をすると、その事業者は強制的に消費税の課税事業者となるため、消費税の負担が発生することや、インボイス制度下で事業を継続するには複雑な計算方法を理解して適応しなければなりません。

これを理解せずに登録しただけでは、そうした実務面に対応できずトラブルになる可能性が高いので注意が必要です。

消費税課税事業者になるということがどういうことなのか、もし理解が不十分な状態であればあれば早急に専門家に相談する必要があるでしょう。

そこら辺をしっかり理解した上で登録を望むのであれば問題ありません。

次の項ではインボイス登録の申請手順について確認していきます。

■インボイス登録申請の手順は?

書類に記入する男性の手のイメージ
インボイス登録を考える場合、手段としては書面による郵送の他、e-Taxを介しての申請も可能です。

ここでは書面による申請の手順を紹介していきます。

申請用紙は国税庁が公開している公式の適格請求書発行事業者登録申請用紙を用いて行いますが、国内事業者用の他に海外事業者用の申請用紙もあるので混同しないように注意します。

以下に国内事業者用の申請用紙のダウンロードページを記載するので、こちらから入手してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/0022003-083.pdf

もし現時点ですでに消費税課税事業者であり、適格請求書の発行をできるようにするのが目的でインボイス登録を考えている会社であれば、申請書の一枚目の必要事項を記入するだけでOKです。

現時点で消費税の免税業者の場合は二枚目の記載も必要になるので漏れのないように記入しましょう。

一応、法人向けの記載例も以下に載せておくので参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/0021009-084_02.pdf

申請書を記入したら、これを窓口に提出することになりますが、申請窓口は地元の税務署ではなくインボイス登録センターになるので、この点も留意を要します。

税務行政は各地の税務署を管轄する上部組織として国税局があり、これは主要都市に配置されています。

インボイス登録は国税局の内部に設置されており、手続きは郵送でのみ受け付けています。

対面による手渡しはできないことになっているので、以下のページに記載されている、自社を管轄する国税局のインボイス登録センターに申請書を郵送してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_yuso.htm

上記ページにも説明がありますが、インボイス制度に関して確認したいことや相談したいことがある場合は電話による対応を受けられるので、適宜活用しましょう。

■まとめ

まとめ
本章ではインボイス登録について申請方法や期限、注意点などを見てきました。

制度導入開始日である2023年10月1日からインボイス制度の適用を受けたい場合、2023年9月30日までに登録申請を行う必要があるので、登録を考えている場合は早めに準備するようにしましょう。

ただしインボイス登録については手続き上の注意点があるほか、インボイスの適用を受けること自体にもリスクやデメリットがあるので、これらをしっかり理解したうえで臨むようにしなければなりません。

影響が大きい問題ですから、適宜専門家のアドバイスを受けることも必要です。

トラブルにならないよう、十分配慮して臨んでください。