「会社を設立したい」「会社を設立するまでの流れを知りたい」といった疑問にお答えする内容となっています。

本記事では

会社を設立する流れ
会社設立に向けてやるべきこと
会社設立中に意識しておくべきこと

以上の内容について解説をしています。

これから法人での起業も視野に入れているけど、会社設立までの全体像を素早く把握したい方へおすすめです。

それでは早速、会社設立までの手順を確認していきましょう。

会社設立までの期間

会社設立までの期間

多くの場合が2週間ほどです。スムーズにいけば数日、遅ければ月単位での会社設立となるケースもあります。

会社設立までの期間にバラつきがあるのは、会社設立(登記申請)に必要な書類の「定款」作りが複雑だからです。

定款には様々な決めておく事項があります。そして、決定した事項を書面に残さなければなりません。

会社設立をスムーズ進めるためには、「定款」の事前準備がとても重要といえるでしょう。

会社設立までの流れ

大きく分けて、以下の表のように「会社設立前にしておくこと」「会社設立の申請にすること」「会社設立後にすること」の3つに分けることができます。

ステータス やるべきこと
会社設立前(登記前) 定款作成までの事前準備(詳細後述)→定款作り→定款認証後の資本金振込
→登記書類の作成
会社設立の登記申請時 法務局へ会社代表印、設立登記申請
会社設立後(登記後) 登記事項証明書の取得→印鑑証明書の取得・交付
→税務署への届出・申告、社会保険加入手続き

会社設立時は「発起設立」と「募集設立」のように設立のやり方は2種類ありますが、設立までの流れはおおむね同じです。

多くの会社では「発起設立」で会社設立をしているため、当記事では「発起設立」を前提に解説をしていきます

会社設立前(登記申請まで)にやること

会社設立前(登記申請まで)にやること

会社設立(登記申請)までにしておくべきことは4つです。「定款作りまでの事前準備」「定款作り・認証」「資本金払込」「登記書類の作成と申請」を事前にしておきましょう。

①定款作りまでの事前準備

定款作りまでに重要な事前準備は6つです。定款を作る際に準備が整っていなければ、定款を作るのに時間がかかってしまいます。

詳しく解説しているのでしっかり見ていきましょう。

定款に記載が必ず必要な事項は事前準備が必要

下記は定款への記載が必須の事項です。

1.事業目的を決める
2.商号を決める
3.本店所在地
4.会社の設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
5.発起人の氏名または名称および住所
6.発行可能株式総数

定款への記載事項は事前準備をしておかないと、記載するまでに時間を要してしまいます。

上記の表で準備をしておかなければならないことは、以下に取り掛かる順にまとめています。

・発起人を決める(全ての決め事は発起人がいないと進行ができないため)
・本店所在地を決める(事業所が決まっていない場合)
・事業目的を決める(資本金などの具体的な目標を立てるため)
・資本金や株の詳細、価額を決める
・商号(会社名)はどのタイミングでも可

定款では多くの記載事項があり、決定した内容を記録・押印での承認をしなければならない事項が多くあります。

記載事項の決定をスムーズにするためにも、事前の計画と準備がとても重要です。

定款に必ずではないが記載がないと効力がない事項

必須事項以外でも定款に記載する事項は少なくありません。

現物出資がある場合についてその内容
株主総会などの招集通知を出す期間の短縮に関する規定
取締役会の設置に関する規定
役員の任期の伸長についての規定
公告の方法
発起人が受ける報酬、その他の特別な利益の内容
株式譲渡制限に関する規定など

定款に記載をした事項については、追加で添付書類が必要になるケースがあります。

定款に記載をする事項について準備物や、決定に同意が必要なものがある場合は事前に計画を立てて取り組みましょう

②印鑑作り

会社設立前(登記申請まで)にやること

印鑑は多くの場合、即日~翌日にはでき上がります。定款が仕上がる前には準備をしておきましょう。

会社の設立に必要な印鑑は以下の通りです。

発起人全員の個人の実印
法人実印(丸印)
法人銀行印(銀行届出印・金融機関届出印)
認印(社印・角印)

まず、定款に「発起人全員の個人の実印」の押印、定款の認証に「発起人全員の印鑑証明の提出」が必要ですので、発起人となる人全員の実印の準備が必要です。

また、登記の申請時に法人実印の印鑑届けを提出する必要があるので、事前の準備をしておきましょう。

③定款作り・認証

3.定款作り・認証

定款作りから認証までは、以下のような順で行います。

定款への記載が必要な事項の決定
発起人全員の同意により定款を作成
発起人全員の実印の押印
公証役場での定款認証
定款の謄本取得

定款作りは「定款作りまでの事前準備」で準備したものを、定款へ記載していきます。

定款を作成したら、発起人全員の同意(実印の押印)をして公証役場で認証してもらい、最後に謄本を取得して完了です。

④資本金払込

定款の認証日よりも後に、発起人全員で資本金を「発起人の誰かの個人口座」に振り込みます。

会社設立時(登記申請時)に出資金の払込証明書が必要なのですが、登記前の段階では会社の口座を作ることができないからです。

出資金の払込完了に、「通帳の表紙」「表紙の次のページ」「入金が確認できるページ」のコピーを撮って、『払込証明書』の作成が完了します。

会社設立時(登記申請時)にやること

会社設立時(登記申請時)にやること

会社設立時(登記申請時)には以下のような書類の提出が必要です。

・登記申請書
・定款、印鑑証明などを含む添付書類
・登録免許税の収入印紙または納付に係る領収証書

添付書類の中には定款での決定事項で必須ではないものや、取締役会の設置の有無で不必要になる書類もありますが、ご参考になさってください。

①設立登記申請書

法務局の「商業・法人登記の申請書様式」ページからテンプレートをダウンロードすることができます。記載要項についてもサイト上で確認できますので、併せて参考にしてください。

②定款、印鑑証明などを含む添付書類

添付書類には多くの種類がありますが、定款での記載内容や取締役会の設置の有無、設立方法で添付の有無が異なります

・定款
・代表取締役を選定したことを証する書面と設立時取締役,設立時代表取締役及び設立時監査役の就任承諾書
・印鑑証明証(発行後3か月以内の市町村長が作成した印鑑証明書)
・払込みを証する書面
など

以上の添付書類以外でも提出が必要になる書類がありますので、必要書類の該当要件をしっかりと確認しておきましょう

③印鑑届け

会社の印鑑(法人印)となる印鑑の届け出も行います。法人印の届け出は「あらかじめ」とされていますが、法務局では登記申請と同時でもかまわないとされています。

印鑑届けの提出には届け出人(代表取締役、取締役など)の「作成後3か月以内の市町村長が作成した本人の印鑑証明書」の添付が必要です。

④登録免許税の収入印紙または納付に係る領収証書

会社設立時(登記申請時)に必要な登録免許税の収入印紙などは、事前に用意をしておく必要があります。

登記申請書に貼り付けて提出するためです。

収入印紙は金融機関や、収入印紙売り場のある法務局で買えます。領収書は金融機関で用意しましょう。

会社設立後(登記申請後)にやること

会社設立後(登記申請後)にやること

会社設立後(登記申請後)にもやるべきことがいくつかあります。やるべきことについて、「会社設立後に届け出の義務があるもの」と「その他のやっておくべきこと」をしています。

①会社設立後の義務

会社設立後に提出の義務のある届け出は以下の5つです。以下の表で一覧にしています。

届出先 届出の名称 提出期限
税務署 法人設立届出書 2か月以内
青色申告の承認申請書 原則として開業日から3ヵ月または最初の事業年度の終了の日の前日まで
都道府県税事務所 法人設立届出書 おおむね2か月以内(地方自治体で異なる)
市町村役場 法人設立届出書 おおむね2か月以内(市区町村で異なる)
年金事務所 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 5日以内
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 5日以内
健康保険被扶養者(異動)届 5日以内

②その他のやっておくべきこと

会社設立後すぐに届け出の義務のある書類以外にも、会社設立後に届け出の要件に該当しているものは、まとめて届け出をしておくと手間が省けます。

会社設立後すぐに提出義務のある書類以外の届け出は、次の通りです。

届出先 届出の名称 提出期限
税務署 給与支払事務所等の開設届出書 給与支払事務所等の開設から1ヶ月以内
給与支払事務所等の開設届出書 給与支払事務所等の開設から1ヶ月以内
棚卸資産の評価方法の届出書 最初の事業年度の確定申告書の提出期限まで
減価償却資産の償却方法の届出書 最初の事業年度の確定申告書の提出期限まで
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 随時(給与の支給人員が常時10人未満の場合)
消費税の新設法人に該当する旨の届出書
(資本金または出資金1000万円以上)
速やかに
銀行 口座開設依頼書など 速やかに

従業員を雇う場合には、上記の他にも「労働基準監督署」「ハローワーク」で労災保険や労働法、雇用保険に関する届け出も必要となります

まとめ

 

会社設立の流れは本記事でご紹介したように、「事前準備」「登記申請時」「登記後」で多くの取り組むべきものがあります。

発起人が1人の場合と複数人では、記載すべき事項の決定にかかる期間も大きく異なるでしょう。

また、会社設立前後では印鑑作成や銀行、届け出などで多くの場所に足を運ばなければなりません。

まとまった時間を確保しておかなければ、念願の会社設立がどんどん伸びてしまいます

スタートでつまづいたり、途中で挫折しないよう「計画」をしっかりと立て、ご自身の一世一代の大挑戦を成功させましょう