銀行は安心安全、そしてクリーンなイメージを持つ方が多いと思います。

毎日多額のお金が動く業界ですから、間違いが許されない世界と言って良いでしょう。

銀行業界では今、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行が度重なるシステム障害を起こして大変なことになっています。

今回はこの問題を取り上げて、影響や金融庁が発した監督措置について見ていきたいと思います。

もう驚かなくなった?度重なる障害

もう驚かなくなった?度重なる障害」

みずほ銀行はこれまで片方の手に収まらないくらい頻回のシステム障害を起こしています。

最初こそ「へえーこんなこともあるのか」と驚いていたものの、今では「またみずほか」と呆れ感が強くなっています。

ただ、みずほ銀行の利用者の方は傍観者ではなく、直接的にシステム障害の不利益を受ける被害者ですから大変です。

障害のためにATMの多くが停止し取引ができなくなった他、停止したATMに通帳やキャッシュカードが取り込まれたまま取り出せなくなるなどの被害が起きています。

担当者を呼んで処置をしなければなりませんから、個人レベルでも「この忙しい時に!」となるのは当然です。

またお金の振り込みはそこに何らかの取引が発生しているわけですから、予定した時期に着金されなければビジネス取引の相手にも影響が出ると考えられます。

度重なるみずほ銀行の障害発生は銀行の利用者だけでなく、その利用者とつながっている全ての人や企業にとって非常に迷惑な話です。

背景には統合の歴史も関係している

背景には統合の歴史も関係している

今般のみずほ銀行の度重なる障害発生は銀行誕生の歴史も影響しています。

みずほ銀行はかつて第一勧業、富士、日本興業という3つの銀行が統合してできた歴史があり、それぞれの銀行が使用していたシステムを統合する過程で相当の苦労があったようです。

会社組織の統合も大きな苦労がともないますが、システム統合は技術面ですからまた別の問題や苦労があったことでしょう。

システム統合自体が不安定となるのは仕方ないとしても、その後みずほフィナンシャルグループ全体で基幹システムの保守要員を6割も削減したということですから、これも今回の事案に大きく影響しているのかもしれません。

今みずほ銀行は自社のシステムを自分自身でコントロールできていない状況ですので、みずほ利用者の方は「この銀行本当に大丈夫なの?」とキリキリした思いを抱いておられると思います。

ついに発動された金融庁の監督措置

ついに発動された金融庁の監督措置

もはやみずほ自体がシステムを掌握しきれていないと判断した金融庁は監督措置を発動しました。

この措置は簡単に言うと金融庁がみずほ銀行を直接管理すること意味し、みずほ銀行は民間企業でありながら経営の自由を一定程度拘束されることになりました。

金融庁は行政機関のひとつで、民間企業に口を出す方法としては行政指導と行政処分の二種類があります。

行政指導は法律の根拠なく行えるもので、指導、勧告、助言によって望ましい方向に民間企業を誘導することができます。

法的根拠なく行える半面、法律上の拘束力もないので、実効性は担保されないということになります。

今回の金融庁の監督措置は行政処分の方で、法的根拠の元に発動され、国民や企業を法律上拘束します。

国民や企業に対し一定の義務を課すことができ、今回の監督措置ではみずほ銀行に対し正常な管理体制の確保や10月29日までの報告書の提出などを義務付けています。

みずほ銀行は今後どうなる?

みずほ銀行は今後どうなる?

現状の措置として、金融庁はみずほ銀行に対し立ち入り調査なども実施しており、内部の体制がどうなっているのかなども金融庁に知られることになります。

外部から報告を求めるだけでなく中身を総ざらいされている状態ですから、これで何らかの膿が出てくることが予想されます。

システム障害の頻発につながった原因がわかれば、これを改善するための改善命令が別の行政処分として下されるでしょうから、それでもしかしたら改善がなされるかもしれません。

ちなみに、立ち入り検査や改善命令に従わなかったり、質問に対し答えないようなことがあれば、違反行為をした者を1年以下の懲役か300万円以下の罰金に処すという銀行法の定めもあります。

これによって行政処分の実効性を担保しているので、みずほ側は拒否ができないわけですね。

そして最悪の場合、みずほが銀行免許を取り消されるというシナリオもあります。

改善命令によっても事態が改善されない場合は、みずほに銀行業務をさせることで国民が被害を被り続けることになります。

国は必要があれば銀行免許をはく奪することができるので、みずほ利用者は他の金融機関に乗り換えなければなりません。

影響が大きくなりますから、このシナリオが現実にならないことを祈ります。

まとめ

まとめ

この回ではみずほ銀行のシステム障害頻発事件を取り上げて、その影響や金融庁の監督措置などについて見てきました。

銀行システム統合の歴史も関係しているため、技術的な面で根深い問題が潜んでいると考えられ、近々に100%正常な環境に至るのは難しいと思われます。

ただ金融庁が本腰を入れて調査していますから、今後どのようなアナウンスがされるのか注視していきましょう。