去年、円安や海外情勢の影響からそろりと動き出した物価高でしたが、今やその影響は生活の隅々まで及び、国民は悲鳴を上げています。
特に生活に必須となる食品の値上げで苦しむ家庭が多いと思われますので、本章では2023年の食品値上げの状況見通しについて解説します。

■食品の値上がり事情はどうなっている?

食品値上げイメージ画像

去年2022年12月現在の情勢として、天候変動の影響を大きく受ける生鮮食品を除く消費者物価指数が40年ぶりの急上昇を見せました。
オイルショックという時代の波の影響を強く受けた1981年並みの水準で、消費者が受ける物価高の影響は過去最高の水準に達していると言えます。
これまでの値上げ経過を一部抜粋すると、食用油が35%、食パン14.5%、国産豚肉11.6%、牛乳9.5%などの値上げが確認されています。
これを受けて、総務省は食品を含む生活物資やエネルギー等のまとまった価格改定が2023年の二月頃をピークに起きるだろうと予測しています。

■2023年の食料品の値上げはどうなる?

食品価格に悩む女性のイメージ画像

民間の調査機関も今年2023年の物価高について様々な予測を出しています。
帝国データバンクでは国内の主要メーカー等に聞き取りを行い、去年2022年12月後半時点の予想として、2023年には約7000品目の食品値上げが予定されていると発表しました。
もう少し踏み込んでみると、2023 年の値上げ予想で目立つのは加工食品、冷凍食品、小麦製品、水産缶詰、菓子類、ドレッシングなどの調味料などが挙げられます。
原材料の高騰などが生産者に相当の苦労を背負わせていることが伺えます。
酒類や飲料分野では輸入品方面で円安も影響することから値上げ率が高まる予想です。

■企業側の努力は限界を超えている

業績不振悩むイメージ画像

従来であれば、多少の原材料価格の上昇があっても企業努力の名のもとに値上げを回避する傾向が強かったと思います。
消費者もある意味その姿勢に甘えていたわけですが、この度の事情下ではとても企業の努力に任せて乗り切ることはできません。
昨年の後半にはすでに企業努力の限界は超えていて、各社が一気に値上げに踏み切っています。
企業側としては、自社だけでは怖くて価格転嫁ができないとしても、価格転嫁はやむなしという雰囲気が醸成され他社も値上げしてくれれば、大手を振って値上げの行動を取ることができるでしょう。
この度の価格変動事情は一企業や特定の業界だけの話ではなく、国全体で影響を受けているわけですので、エネルギー方面と同様に政府がなんらかの支援策を打ち出すことも必要かもしれません。

■消費者側の許容度は?

家計費イメージ画像

食料品の値上げによる影響を直に受ける消費者側の事情はどうでしょうか。
こちらも家計の負担は目に見え、テレビ等でも見聞きするように家計への負担は相当なものになっています。
現在のところ物価高を受け止めるだけの賃金上昇はありませんから、当然と言えば当然です。
岸田首相は年始のあいさつで経済界の主要なメンバーを相手に「確実な賃金UPを」とお願いしていて、経済界からはこれに対応する動きも出ています。
大幅な賃金UPは決して不可能ではないとする回答も一部から上がっているようで、これは良い兆しとして期待したいものです。
ただ、食品に関しては今目の前にある危機ですから、賃金上昇を悠長に待っていることはできません。
消費者側としては、できる範囲で節約するなどの生活防衛をしっかり固める必要があるでしょう。

現在の2023年の見通しとしては値上げ抑制の大きな要素は見られないので、しばらくは財布のひもをきつくする人が多くなりますから、企業側としては商品やサービスが売りにくくなります。
ひとつだけ、日銀が利上げを公表していますので、円安のけん制効果が期待できる予兆もあります
輸入品方面の価格上昇を抑える要素となり、小さいながら転機となるかもしれません。

■まとめ

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本章では相次ぐ食料品の値上げについて、2023年の見通しについて解説してきました。
去年2022年後半から一気に値上げラッシュが始まりましたが、とても一度の値上げでは対応しきれず、今年も引き続き値上げが続きそうです。
企業側の負担を考えると避けて通れない事情がありますので、国民全体として価格高騰の波に立ち向かう姿勢が求められます。
国としても有効な対策を早期に講じて頂けるように願うところです。