経営者の皆様におかれましては、普段からメインバンクと良好な関係を保つことに腐心されていることでしょう。
コロナの情勢も一応の落ち着きを見せた2023年末時点では、銀行の貸し出し金額が過去最高になったというニュースも流れました。
本章ではこのニュースを見ながら、今年の動向予測などもしてみたいと思います。

■昨年2023年の銀行貸し出しが過去最高に

昨年2023年の銀行貸し出しが過去最高に

全国銀行協会の預金・貸出金速報によれば、2023年末における貸出金は前年末比3.3%増、金額にして580兆3280億円となっています。
この数字は過去最高の数字で、理由としてはコロナの影響を受けて現金需要が根強く残っていたことなどが挙げられています。
また昨年12月に発表された貸出・預金動向資料によると、11月時点での銀行貸し出しの伸び率が前年比で3.18%に上昇という数字も出ています。
やはりコロナ後の経済活動再開が大きな要因と考えられる他、原材料や物価の高騰に伴う資金需要なども複合的に影響したことが関係するようです。

■資金需要は不動産分野が牽引

資金需要は不動産分野が牽引

貸し出しが好調な分野としては不動産業界が挙げられています。
不動産業者向けと個人の住宅ローン資金方面の貸し出しと合わせて不動産業界が活況のようです。
銀行貸し出し伸び率の全体に占める半分程度が不動産方面に投下されており、けん引役となっているのが分かります。
コロナでダメージが大きかったサービス業などは低調で、ゼロゼロ融資の返済などでなお好転の兆しが見えづらい状況が続いていると思われます。

■貸出金利上昇の予想

貸出金利上昇の予想

金利政策を巡っては日銀の動向が注視されるところですが、メガバンクに追随する形で地銀でも定期金利の利上げが広がっています。
またゆうちょ銀行でも5年定期の預金で金利を引き上げるなど、長く動きが無かった預金金利にさざ波が立つようになりました。
金利の上昇は投資面では期待できる反面、住宅ローン方面ではブレーキ要因にもなります。
いずれにしても預金金利の上昇により、貸し出し金利についても今後上昇の圧力がかかるものと思われます。

■2024年の融資動向の予想は?

2024年の融資動向の予想は?

今年2024年の融資動向を勝手に予測してみたいと思います。
企業目線では、コロナ禍から脱し経済活動を再開する中で旺盛な資金需要が生じると予測します。
設備投資などで資金需要が増し、融資の打診は増える傾向となるでしょう。
一方で金利上昇が顕著になれば借り入れに慎重さが求められることになり、需要に対してブレーキがかかる要因になります。
実働面では賃金の上昇圧力がかなりの勢いになっていて、企業の賃金負担も資金需要に大きく影響するのではないかと予想します。
企業利益が好調になれば借り入れの依存度を減らせるので、上手く利益を上げられる企業は良いとして、借り入れの依存度が高い企業は金利上昇の影響を強く受けることになります。

■融資に過度に頼らない経営を

融資に過度に頼らない経営を

低金利の状況下においても借り入れした資金は必ず返済が必要で、これが経営を圧迫することについては皆さん身に染みていらっしゃると思います。
今後貸し出し金利が上昇してくれば、返済負担はそれだけ重くなります。
今後は今以上に融資の利用に関して慎重さが求められてくることになるでしょう。
金利が付く以上、借り入れをすれば金銭的には100%損が出ることになりますから、できるだけ借り入れに依存しない経営を意識したいものです。
理想としては無借金経営を目指したいところで、借金が無ければ急な資金ショートでも起こさない限り会社がつぶれることはありません。
経営に関する雑誌等を見ていると、またに無借金経営を続ける企業の特集が組まれていることがあるので、ぜひ参考にしたいものです。
現実的には完全無借金経営を続けるのは難しい会社が多いと思いますが、理想として少しでも近づけるように努力することは無駄ではありません。
融資の依存度を下げることで金利による損を避けられるのですから、実利もあります。
できるだけ融資の依存度を減らせるように努力していきましょう。

■流動債権を活用した資金調達

流動債権を活用した資金調達

借り入れに頼らない経営は国も推奨するところで、売掛金などの流動債権を活用した事業資金の調達が今後の主流になっていくと予想されます。
売掛金の現金化は弊社でも行っているファクタリングによって可能となり、本来の売掛金の支払期日よりも前に資金化することができます。
売掛債権は自社の資産ですので、現金化しても負債が増えることはありません。
借金に頼らない資金調達法として最も有効な手段ですので、ぜひ検討頂ければと思います。

■まとめ

この回では2023年の銀行貸し出しが過去最高になったニュースを取り上げて、今年の貸出金利の予想などもしてみました。
資金需要が旺盛なのは経済再生の兆しと捉えることができ、明るい話題ではありますが、今後金利の上昇に伴い企業の融資返済の負担が増えることも考えられます。
経営者の皆様におかれましては、できるだけ借り入れに頼らない経営を目指して頂ければと思います。