人間には個性がありますから、どうしても得手不得手の分野が出てくるのは仕方がありません。
Aさんは普通にできる仕事が、Bさんには難しくて器用にこなせないということはよくありますね。
こと起業や経営という面を見た場合、これに向いている人は課題を乗り越えて成長できるでしょうし、向いていない人は乗り越えられず挫折するか、小さな課題を乗り越えるために相応しくない多大な犠牲を払うことになるでしょう。
人間の本質を変えるということは難しいですが、経営者に向いていない性質を持つことが自分でも分かっているのであれば、修正可能なものは意識して修正するというスタンスも必要です。
本稿では経営者に向いていないと思われる人の特徴を考えてみますので、ご自身に当てはめて考えてみてください。
人のせいにするのがクセになっている人
自分のせいになって責任を問われたり、追及されることに恐怖を感じるのは心理的な防衛機能として当然とも言えますが、常に誰かに責任転嫁できるように言い訳を準備している人がたまにいますね。
過度に恐れるあまり、頭の中で常に責任転嫁の方法を考えるようになっていると良くありません。
例えば社内のプロジェクトの進行において、何らかの支障が生じそうな気配がある時、「もしこのプロジェクトが上手くいかなくなったら、あの時のAさんのミスを指摘しよう」など、人のミスを常に把握しておき、いざとなったらそこ事実をあげつらえて、矛先を自分からそらすことに注力している人は結構います。
従業員の立場であればある程度は仕方がないかもしれませんが、経営者は社内で同じステージに立っているのは自分だけですから誰にも責任を転嫁できません。
ヘタに従業員に責任転嫁などしてしまえば社長としての面目もカリスマ性も丸つぶれです。
経営者は、常に逃げの姿勢を確保しておくような従業員気質から脱しなければいけません。
自分で物事を考えることが苦痛な人
学生時代のグループ活動などで、課題の提案や実務の進行について仲間に丸投げの姿勢を取る人も経営者にはあまり向いていないでしょう。
人任せにすれば楽ですから、さぼり癖のある人はその方が都合が良いのです。
しかし自分の頭で物事を考えることができないと、経営課題の探り出しや解決に向けた取り組みなど、社長としての仕事はとても苦痛に感じるでしょう。
苦痛でもしっかりやってくれればいいのですが、課題が見えない、解決できないとなると会社は傾きます。
信念や信条は人それぞれですが、経営者になるのであれば常に自分の頭で物事を考えて、主導的に考察、行動できるようにしておきたいものです。
単純労働が性に合う人
製造業などでよくあるベルトコンベアで検品する作業や、ネジなどの生成物を金型から外していく作業など、単純作業を延々と繰り返すような仕事が好きな人や性に合う人は、きっとそれが天職なのでしょう。
経営はこうした単純作業とは全く正反対の仕事で、創造性が必要になります。
単純作業が苦手な人は数分繰り返すだけで発狂しそうになりますが、性に合う人は黙々と作業をこなせます。
単純作業が性に合う人は従業員気質が強い人がほとんどなので、社長タイプの人の下で適切な仕事を与えられればしっかり仕事をこなしてくれるでしょう。
経営者は従業員気質の人を使いこなして会社を回していくのが仕事になります。
慎重すぎる人
日本人は投資を好まず、保有資産の構成は現預金が多くを占めると言われています。
守りの姿勢が強いとみることができますが、お金の面だけでなく、会社を回していく上では日々様々な決定を迫らる中でどうしても守りの意識が働いてしまいます。
プロジェクトの発動について部下にGoサインを出すか、出さないか、新しい事業に乗り出すか、やめておくかなど小さな決定から社運をかけた重要な決定まで様々です。
メリット・デメリット、リスクについては慎重に検討することは大切ですが、リスクを恐れるあまり必要な行動できないと、これもよくありません。
検討した結果、仮に悪い方に傾いてもその損失が過大でないと踏めるようであれば、「まずはやってみて、ダメなら修正する」というスタンスが経営者には必要です。
特に採算がどうなるか不透明な新規事業への進出などは、経験を積む意味でも取りあえずやってみて、採算が合わないようであればすぐに撤退を検討することもできます。
仮に撤退しても、それまでの経験がいつか役に立つときが来るかもしれませんから、無駄ではないのです。
落ち込みが激しい人
人生で失敗を経験したことがない人はいないと思いますが、何かやらかしてしまった時の落ち込み度合いは人それぞれです。
あまり気に留めずすぐに回復する人もいれば、落ち込みが激しく何日も失敗のことが頭を巡り他のことに集中できなくなる人もいます。
後者のタイプは経営者には向かない気質です。
会社を回していく中では社長の決定が裏目に出ることもあります。
そんな時は、落ち込む前に失敗の原因を探って軌道修正を図ることに集中する方がよほど生産的です。
失敗をまったく気にしないのも問題ですが、気にしすぎる人は経営者には向かないでしょう。
二番手以降が安心する人
処世術を説く解説本などには、「リスクを回避して人生を生きるためには、一番を目指さず二番手以降で満足して生きろ」などと説くものもあります。
適性の無い人は起業はするな、という趣旨と捉えれば間違いではないのですが、そのような生き方が性に合っている、安心できるという人は経営者には向いていません。
社内のプリジェクトなどでもリーダーには極力ならないようにしている人や、グループ活動などで常に誰かに行動指針を求める人なども、二番手以降が性に合う人と考えられます。
このようなタイプの人は仮に出世しても精々部長など中間管理職どまりで、トップである社長にはなれないでしょう。
まとめ
以上、本章では経営者に向いていない人の特徴を見てきましたが、人によって捉え方は千差万別ですので、仮に当てはまったとしても絶望する必要はありません。
例えば趣味ではプラモデルを作るなど単純作業が好きな人でも、同時に人のマネジメントにも長けていて会社を盛り立てていくことが十分にできる人もいるかもしれません。
積極的に前を向いて進める気質があれば、、多少の懸念は吹っ飛ばして進んでいくことはできます。
本章で述べた性格や気質に当てはまるところがあっても、あまり深刻に考えずに、変えられるところは変えて臨機応変にやっていきましょう。
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