資金調達と言えば銀行融資一辺倒だった時代はとうに過ぎ去り、現在では様々な資金調達法の中から経営者が取捨選択する時代になっています。
ファクタリングによる資金調達もかなり一般化していますが、海外市場と日本市場ではかなり違いがあります。
本章では海外と日本のファクタリング市場の違いや需要の動向などについて見ていきます。

■先行する海外市場は旺盛な需要が

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ファクタリングは元々海外が発祥ですので、日本よりも旺盛な需要があります。
市場規模も大きく、ある調査では2019年の取引規模としてアメリカで約1000億ドル、フランスでは約4200億ドル、経済発展が著しい中国では約4840億ドル規模の取引があるようです。
アメリカよりも他の海外諸国の方が取引規模が大きいのが意外ですが、下で述べるようにアメリカのファクタリング取引はすでに飽和状態にあると考えられ、市場としてすでに成熟期を迎えているため、これから将来に向けて市場規模が拡大することはなく、取引が鈍化するのではないかと考えられています。
ただ、いずれにしても海外は債権譲渡による資金調達にそれほど抵抗がなく、かなり旺盛な需要が存在することは確かです。

■海外市場の動向は?

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数の上では旺盛な需要がある海外市場も、その一部は成熟期を迎え飽和状態にあるのではないかと言われています。
例えばアメリカや中国では、ごく僅かな推移ですが前年比換算で取引規模が縮小していることが指摘されています。
逆にフランス、ドイツ、イタリア、イギリスなどの主要国ではファクタリングの取引規模は少しずつ伸びていることも分かっており、国によって差がありそうです。
アメリカや中国の取引規模の縮小程度はごく僅かであることと、他の海外諸国の取引規模は拡大傾向にあることから、全体として海外の市場規模は拡大傾向にあるといって良いと思います。
このような海外情勢に対し、我が国のファクタリング市場がどうなっているか見てみましょう。

■日本国内のこれまでの市場動向は?

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日本国内のこれまでのファクタリング市場の動向を見てみましょう。
2019年の取引規模としては約490億ドル程度とされているので、海外市場と比べると小さいと言わざるを得ません。
伸びしろがあると見ることもできますが、実は2011年の取引規模は1000億ドルを超えており、ここをピークとして取引規模が徐々に縮小してきています。
2011年~2019年までの間に市場規模が半分程度までに落ち込んでしまった理由はどこにあるのでしょうか。
実は2011年以降は電子債権など従来とは異なる取引手法が登場したため、これがファクタリング取引の規模縮小につながったのではないかと考えられています。
また日本のビジネス界では、売掛債権を譲渡するという行為に対して抱かれるイメージが海外と比べると悪く捉えられることも大きな要因と考えられます。
債権は会社の資産なのですから、本来どう活用しようと問題ないはずなのですが、資金繰りの悪化など負のイメージを連想させる要素もあってか、市場規模が徐々に縮小したと考えられます。
ところが、2018年からは一転して取引規模が拡大傾向に移ります。
この要因としては複数考えられ、手形取引の縮小、廃止の影響やクラウドを利用した便利なファクタリング取引が可能になったことが大きいと考えられます。
どこにいても、地理的要因に左右されず迅速な取り引きが可能になったことから、利便性のメリットが利用を大きく後押ししたと考えられます。
最近ではAIを用いたよりスピーディな取り引きが可能になっていますから、資金調達法としての魅力はかなりのインパクトがあります。
もう一つ、法改正による影響も見逃せません。
民法の改正により、債権譲渡禁止特約付きの債権も売買取引が有効とされたため、ファクタリングによる譲渡取引のハードルが一気に下がりました。
こうした影響もあり、日本国内の取引規模が徐々に増えていったのです。

■今後の国内市場はどうなる?

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前項で見た日本国内の取引規模拡大の傾向は今後も確実に続くと予想されます。
近年はIT技術やAIの進化がめざましく、より簡便で利便性のある、経営者にとって魅力のある資金調達法として活用されることが期待されます。
この動きをけん制するような要素は今のところ見られず、むしろ国は流動資産による資金調達を積極的に後押ししています。
ファクタリングはこれまで以上に資金調達法としての優位性を高めていくと予想されますので、ぜひ多くの経営者の方にご認識を頂ければと考えます。

■まとめ

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本章では海外と日本のファクタリング市場の違いや需要の動向などについて見てきました。
海外では元から旺盛な需要があり、一部の国では飽和状態との指摘もあるものの、全体として市場規模は拡大傾向にあります。
日本国内の市場は一時期縮小傾向にあったものの、近年は様々な状況の変化からファクタリングの優位性が見直され、需要が盛り返しています。
他の資金調達法と比べても、迅速性、確実性に長けており多くのメットがあるので、資金需要が発生した時にぜひご検討頂ければ幸いです。