海外ではファクタリングによる資金調達はごく普通に見られ、日本国内でも近年は遠くの取引がなされるようになっています。
一般のファクタリング業者が行うファクタリング取引は迅速性、秘密性に優れた資金調達手段として考えられていますが、少し経路が異なる銀行系ファクタリングという手段もあることをご存じでしょうか?
この回では銀行系ファクタリングとは何か、メリットやデメリットと共にお伝えしていきますので、ぜひ参考になさってください。
目次
銀行系ファクタリングとは?
銀行系ファクタリングとは、銀行もくしはその子会社などの関連業者が提供するファクタリングサービスのことを言います。
例えば三菱UFJフィナンシャルグループの三菱UFJファクター、みずほフィナンシャルグループのみずほファクターなどがあります。
地方銀行でもファクタリングサービスを提供する所があり、例を挙げると以下のようになります。
・百十四銀行
・山口銀行
・スルガ銀行
・名古屋銀行
・足利銀行
・浜銀ファイナンス(横浜銀行)
・みなとリース株式会社(みなと銀行)
次の項からは銀行系ファクタリングのメリットやデメリットについて見ていきます。対して銀行は関係のない一般のファクタリング業者のことを独立系ファクタリング業者などと呼ぶこともあり、銀行系と独立系はサービスの内容や使い勝手がことなります。
銀行系ファクタリングのメリット
まずは銀行系ファクタリングのメリットを見てみましょう。
①手数料が安い
実利の面ではファクタリングにかかる手数料が安く済むということが挙げられます。
下で詳しく述べますが銀行系のファクタリングでは安全が重視されるので、二社間取引は基本的に採用されません。
三社間取引により売掛先の承諾を取って進めるので、リスク管理が軽くなる分手数料が安く抑えられます。
加えて、銀行系のファクタリング業者は多くの取引先の情報を持っているので、不都合が生じない安全な会社の売掛債権だけに絞って取引に臨むことができます。
その分リスクを下げることができ、手数料を抑えることが可能になります。
②信用がある
残念ながら世の中には素性のよく分からないファクタリング業者も紛れているのは事実です。
免許や行政庁による許認可が必要ない業態のため、悪質な業者でもやろうと思えば営業できてしまうのが実情です。
私たちのような真っ当な事業者は信用第一でやっていますので、顧客をぞんざいに扱うなど考えられませんが、悪質な業者にあたってしまうと対応が異常に悪く嫌な思いをしたり、下手をすると違法な貸金取引に持ち込まれる危険もあります。
銀行系はその点信用が厚く、違法取引に巻き込まれるような恐れはまずありません。
③特殊な種類のファクタリングを利用できることも
ファクタリングは一般的には売掛債権の譲渡取引になりますが、銀行系のファクタリング業者の中には特殊な種類のファクタリングを扱うところもあります。
例えば海外取引における資金回収リスクを担保する国際ファクタリングサービスや、売掛先の倒産リスクに備える保証ファクタリングサービスなどがあります。
これらは一種の保険のように機能するもので、業種、業態によってはこうした特殊なファクタリングサービスが有効に機能することもあるので一考できます。
銀行系ファクタリングのデメリット
次に銀行系ファクタリングのデメリットを見ていきます。
①売掛先にバレる
銀行系ファクタリングでは安全を重視するため二社間取引は基本採用されず、三社間取引のみとなります。
売掛先に事情を話して了解を得る必要があり、そのため金策が必要になっている事実を知られることになります。
長年の付き合いでファクタリングを行うことについて理解がある会社であれば良いですが、一般的には金策が必要=資金繰りが悪化しているとみなされるので、その後の付き合いに影響が出る可能性があります。
またその噂が業界内に流れることで他の取引先との付き合いに影響が出ることも考えられます。
②迅速性がない
独立系ファクタリングで一般的な二社間取引は迅速性があり、最短当日中に資金調達が可能です。
しかし三社間取引となる場合、調整に時間がかかるため迅速な取り引きは望めません。
下記の③と相まって審査から契約締結、債権買取金の受領まで数週間は必要となるので、迅速性が求められるシーンでは利用は難しくなります。
③審査が厳しめ
安全を重視するということで審査は独立系よりも厳しめになります。
審査に要する期間が長引くのはもちろんですが、売掛先だけでなく債権譲渡会社も審査対象となり、財務状態などを調べられるので自社の状態によって審査にはじかれることもあります。
独立系の二者間取引では売掛先のみが審査対象になるので、債権を譲渡する会社の信用は問題になりません。
④銀行に情報が伝わる
銀行本体であればもちろん、関連企業がファクタリングを提供する場合も母体の銀行にファクタリングを利用した事実が伝わります。
直接の影響はなくとも、今後の融資の際などに影響が出るかもしれません。
銀行系ファクタリングを検討すべきシーンは?
独立系と比べると銀行系ファクタリングは迅速性、秘密性の面で劣るなど使い勝手は良いとは言えません。
利用を考えることができるのは、時間に余裕があり、取引先にファクタリングの利用を知られても問題なく、かつファクタリング取引の当事者として承諾を得られそうな場合に限られます。
時間に余裕があるならばノンバンク等の融資取引を考えることもできるので、信用面で難があるか財務諸表上で見栄えを悪くしたくないなどの事情がある時には銀行系ファクタリングを検討しても良いでしょう。
まとめ
この回では銀行系ファクタリングとはどういうものか、メリットやデメリットと共に見てきました。
独立系ファクタリングと対をなす概念として用いられることもあり、銀行やその関連企業が提供するファクタリングを指す言葉です。
手数料が安く済むなど一定のメリットがある他、国際ファクタリングなど特殊なサービスを利用できることもあるので、業種によっては利用価値を見出すことができます。
ただ資金調達では多くのケースで迅速性を求められる他、資金繰りの必要性を知られないようにする必要があるので二社間取引を望まれる企業様が多いのも事実です。
二社間取引は私たちのような独立系の事業者が得意とするところなので、急ぎの資金需要の際にはぜひ弊社にお声がけ頂ければ幸いです。
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