ファクタリングは借り入れに頼らない資金調達手段として人気があり、国も流動資産を活用した資金調達を推進していることから多くのビジネスプレーヤーに認知されるようになってきました。
弊社でも人気の高まりを肌で実感しているところですが、今回はファクタリング業界における以前との変化や今後の動向などについて語ってみたいと思います。
目次
ファクタリング業界は有望な成長分野
ファクタリングの認知度は年々高まっている印象で、業界の人間にとってこれは率直に嬉しく思います。
取引数の増加も現場感覚として強く感じており、需要の旺盛さを実感しているところです。
一方で、国内全体の需要はまだまだ伸びしろがあると見ています。
アメリカや中国などではファクタリングの需要はほぼ飽和に近づいているという指摘もあるところ、我が国ではファクタリングの利用が急増してきたのはここ十数年で、潜在的な需要はまだまだ眠ったままと見ています。
従来、企業の資金調達と言えば融資一辺倒だった時代がありましたが、借り入れに頼る方法ではデメリットが多く、返済にかかる負担などで企業が倒産に追い込まれるケースも増えています。
ファクタリングは返済が不要で利用の際に担保や保証人が要らないなど多くのメリットがあり、これが多くのビジネスプレーヤーに知られるようになったため爆発的に人気が出ている状況です。
またファクタリングの利用を加速させるいくつかの要因もあり、これらの後押しもあってさらに利用は伸びると見られます。
これらの要因について次の項から見ていきます。
ファクタリングの流通を加速させる2つの制度改正
わが国では従来、手形による取引が流通していましたが、これが近い将来縮小されることになっています。
手形は紙ベースのものと電子記録債権タイプの二つがあり、2026年に紙ベースの手形が廃止されることになっています。
まだ今のようにバラエティに富んだ支払い手段が発達していない時代には手形の流通が盛んにおこなわれていましたが、紙ベースの手形は保管の手間や紛失のリスクがあり、メリットよりもデメリットが目立つようになっていました。
電子タイプはそのようなリスクが無いので今後も残るようですが、紙ベースの手形は役目を終えたとして廃止されます。
電子タイプも実際に利用できる事業者は限られていて、需要は相対的に多くありません。
支払いのために手形を利用するよりも、ファクタリングで手軽に現金を作れれば問題ないので、手形の縮小はファクタリングにとって追い風です。
また、近年民法の債権分野で法改正があり、債権譲渡禁止特約付きの債権も原則として譲渡が可能になりました。
流通を抑制するルールが外れたことから、こちらもファクタリングの利用に追い風となります。
これらは国の施策が絡むものですが、最近の業界には技術革新の面からも利用拡大の要素があるので、こちらも見てみましょう。
「いつでも、どこからでも」が普通に
ファクタリングは大きな金額が動く取引ですから、取引の安全を担保することは非常に大切です。
そのため昔は対面での面談を要すなど、手間のかかる工程が入っていました。
安全性が担保される一方で、利用者としては地理的に近いファクタリング業者としか取引できない、現金確保までに時間がかかるなどの不都合が生じていたのですが、最近はこの様相が一変しています。
今はオンライン取引が普通に行われていて、面談もオンラインで済むため地理的制限は一切なくなりました。
会社のパソコン上で取引がすべて完結する仕組みが整えられたため、手間なく、迅速に資金調達ができる時代となったのです。
利用者は有利な取り引きができそうなファクタリング業者を自由に選べるので、業者側も利用者がより便利に利用できる環境を整えようと積極的に環境整備に取り組むようになりました。
その取り組みの姿勢と、IT業界の技術革新が相まって利用者にとってさらに利便性の高いファクタリングが可能になっています。
AI技術の導入で二つのメリットが増大
近年、他分野でも大きな話題になっているAI技術はファクタリング業界でも大活躍しています。
ファクタリング取り引きにおいては、書面の審査などでAIを活用することで、より迅速に、負担のない審査が可能になっています。
迅速性が増すことで利用企業の資金需要に素早くマッチでき、資金ショートの危機などにも対応が容易になります。
またこうした最近の技術を導入することでファクタリング業者側の負担が減りますから、人件費などの削減につながり、その分利用者の手数料負担の軽減につながるメリットもあります。
AIなどの技術発展は、ファクタリング業界において迅速性の向上、金銭的負担の軽減という二つの側面でメリットを提供してくれています。
現状の課題と懸念
一方で、業界には課題や懸念もあるのは事実です。
現状ではまだ貸金業界のように強い法規制がないため、自由な取り引きが望める反面、取引の安全という観点ではリスクも存在します。
事業参入が容易なことから一部に質の良くない業者がいることも指摘されています。
高額な手数料を要求したり、契約書の控えを交付しないなど利用者にリスクをもたらす取引をするところもあるようですので、こうしたところには十分注意が必要です。
こうした現状から、一部ではそろそろ何らかの規制が入るのでは?との憶測も出ているようですが、今のところ国にそのような動きはないようです。
手数料の明確化くらいのルールは作っても良いのではと思いますが、あまり踏み込んだ規制をかけられると、今度は利用者の利便性が下がる危険もあります。
この辺はどうバランスを取るべきか思案が求められます。
当面は当事者による自己管理が求められる
ファクタリング利用において規制が入らない現状では、利用者の自己管理に頼ることになります。
業者選びの際には倫理観をもった運営をしているところを選ぶ必要があります。
相談の際に丁寧な受け答えがあるかどうか、契約書の作成交付はしっかりしているかなどは最低限チェックが必要です。
一つ注意してもらいたいのは架空債権の取引を仕向ける悪質な業者もいるので、これに応じないように肝に銘じて頂きたいと思います。
架空債権取引とは、本来存在しない売掛債権があるかのように装ってファクタリング取引をするものです。
ファクタリング利用者側が、ファクタリング業者を騙そうとして架空債権取引を行うこともありますが、逆にファクタリング業者側から水を向けられることもあります。
「債権があることにして、それをウチが買い取ったことにするから、代金には利息をつけて返してくれればいいよ」という感じで水を向けるわけです。
業者側は利息利益を得られれば儲けがでるので、うまくまとまれば悪い話ではありません。
しかしこれは貸金業法に違反する行為です。
そして怖いのは、後になって架空債権取引を利用者側が仕向けたとして脅してくる可能性があるということです。
業者側は騙されたふりをすることもできるので、「警察に通報されたくなければこちらの言うとおりに取引をしろ」などと脅してくる可能性があります。
トラブルに巻きこまれる可能性が高いので、架空債権取引の誘いがあっても絶対に乗らないようにしてください。
まとめ
本章ではファクタリング業界の変化や今後の動向などについて見てきました。
ファクタリングは従来の融資と比べてメリットが多く、増々人気が出ていますから、日本の経済発展に寄与できる有望な業界と言えます。
技術発展もこれを後押ししているので、今後の利便性のさらなる向上に期待したいところです。
利用者サイドとしては、悪質な業者に騙されないように注意しつつ、できるだけ有利な取り引きが望める業者と上手に付き合っていくようにしましょう。
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