企業は発足当初から徐々に成長していくのが通常ですが、急激な成長を見せる企業をスケールアップ企業と称することもあります。
成長は企業にとって嬉しいことではあるのですが、スケールアップには注意を要する点もあります。
この回ではスケールアップを目指す戦略や注意点などについて解説していきます。
企業がスケールアップを目指すには
スケールアップ企業には画一的な概念があるわけではありませんが、OECD(経済協力開発機構)では売上高または従業員数が3年間で20%以上成長している企業を成長著しい企業として支援対象にしています。
国内では確たる定義が定着していないものの、企業を成長させることは起業家の使命ですので、ここではスケールアップをはかるための方法について見ていきます。
①シェアを見込める市場の見極め
短期間に大きな成長を実現するには短期にシェア拡大を図れる市場の見極めが重要です。
マーケット分析を行ってどれだけのシェア獲得が見込めるか調査し、十分な準備を整えて一気に市場参画を図ります。
②市場開拓と顧客の確保
シェア獲得にも通じますが、既存の顧客だけでなく潜在顧客の開拓を行うことも重要です。
潜在需要を開拓してマーケット拡大を図れれば開拓した顧客が丸々自社の取り分となります。
③優秀な人材の確保
スケールアップを図れるような会社には必ず優秀な社員がいます。
起業家一人の力ではどうしても推進力に限度がありますから、優秀な人材を確保して馬力を高め、少数精鋭の筋肉質な組織を作りましょう。
④効率的な事業運営
事業体が大きくなればどうしても無駄が発生します。
スタートアップなど少数精鋭で始める事業体は良い意味で無駄がないので、効率的な運営が可能です。
意思決定もスピーディに行えますから組織運営上も強みがあります。
加えて最新のAIやテック技術を導入してより効率的な運営を目指しましょう。
⑤適切な事業計画の立案
スケールアップを実現できた起業家もただ闇雲に打って出たわけではありません。
成功の裏には綿密な事業計画があったはずで、計画の立案には結構な労を伴うことが多いです。
実現可能性の高い計画とするためには地道な調査が必要になります。
⑥事業資金のマネジメント
必要となる事業資金について調達計画を立てることは経営者としての最重要使命といって過言ではありません。
事業資金の調達は大きく借り入れや融資によるデットファイナンス、株式を発行して資本を募るエクイティファイナンス、会社資産を現金化するアセットファイナンスに大別されます。
それぞれ具体的な手法は細分化されるので、ケースに応じた適切な方法を選択できるようにしなければなりません。
アセットファイナンスは自力での資金調達となるので計画的に運用すれば問題は起きませんが、デットファイナンスは返済にかかる負担が生じること、エクイティファイナンスは株主が会社の運営に口出しをしてくる可能性があるので経営の自由が損なわれる危険があることに注意します。
まとめ
この回では企業がスケールアップを図るための方法について見てきました。
スケールアップできることは基本的には嬉しいことではありますが、急成長することで組織運営が難しくなることもあるので注意も必要です。
例えばラーメン店が店舗数を増やすことで店主の目が届かなくなり上手くいかなくなるようなケースもあるので、経営者のコントロールが利く範囲を逸脱しないように配慮しながらスケールアップを図ってください。
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