2025年も二月に入り、アメリカではトランプ政権が本格始動、当初のアナウンス通り関税戦争が始まろうとしています。
我が国の足元では日銀の金利政策が慎重さを持ちながら今後の動向を検討しており、この政策によって私たち国民の生活に大きな影響が出てくることになります。
本章では私たちの足元経済でどのようなことが起き得るのか考えてみたいと思います。
金利上昇のスピードは速め
我が国は長らく政策上でマイナス金利が続きていたため、若い人は金利があると聞いてもあまりピンとこない人もいるようです。
バブル期を過ごしてきた人は「金利で生活できる」という時代を経験した人もいるでしょうから、この点では世代間格差があるかもしれませんね。
金利上昇の機運はかなり前からあり、賃金上昇など様々な要素を踏まえ、いよいよその発動がなされたのが2024年の3月でした。
日銀の政策変更は私たちの身近な生活に大きな影響を及ぼします。
直近の日銀の政策変更についてまとめて見てみましょう、
日銀政策の変更点をチェック
日銀は2024年3月の金融政策会合において、それまでの政策から大きな転換を図ることを決定しました。
以下でポイントをまとめてみます。
①マイナス金利の解除
日銀は我が国の政策金利として長らくマイナス金利政策をとっていましたが、当会合でその政策解除を決定しました。
これにより無担保コールレートを0~0.1%程度まで調整することとします。
無担保コールレートとは、金融機関同士で行われる短期の資金の貸し借りのことで、今日借りて明日返すという超短期の無担保でのお金の貸し借りのことを言います。
「オーバーナイト」の別称もあるこのレートは我が国の政策金利の元となるものです。
ちなみにこの後の7月の金融政策会合において、無担保コールレートはさらに0.25%まで引き上げられることとなりました。
②長短金利政策を終了
長短金利についてこれまで0.1%に上限をもっていたところ、これを撤廃することとしました。
長短金利は基本的にマーケットに任せることとし、長短金利政策(イールドカーブコントロール)は終了となりました。
長期国債の買い入れは撤廃はせずに継続するものの大きく縮小することとし、状況に応じて対処するという姿勢が取られることとなります。
③資金供給量の拡大方針を撤廃
日銀の仕事の一つであるマネタリーベース(資金供給)の拡大を継続するという政策が終了となりました。
マネタリーベースはハイパワードマネーとも呼ばれ、日銀が経済全体に供給する通貨量のことを言います。
積極的なマネタリーベースは役目を終えたことになります。
④Jリート、ETFの買い入れ終了
量的・質的緩和の目的でこれまでJリートやETFなどの商品を買い入れ、世の中に資金供給を続けてきたものの、新規の買い入れを完全に終了するとの決定がなされます。
Jリートは不動産投資信託、ETFは上場投資信託のことで、日銀はこれらを買い入れることで市中に資金提供を続けてきましたが、これが終了することとなり、積極的な資金供給が終了することになります。
全体として、日銀から市中への資金供給が減ることでお金の流通が減り、お金の価値が上がって金利上昇への誘導が進むことになります。
人によって損得の差が出る可能性
金利の上昇がどのように影響するかは人によってかなり違いが出ることが予想されます。
預金金利が上昇することで預金者は恩恵を受けることになり、国債の利率も上がっているようですので、こうした無リスク資産を保有する人には恩恵があるでしょう。
一方で住宅ローンを抱えている人、これから住宅購入を考える人にとっては大きな問題となり得ます。
固定金利はすでに上昇していて、これから変動金利も上昇する可能性が指摘されているので、すでに変動金利で借りている人は戦々恐々でしょう。
住宅ローンの固定金利は5年ずつ見直しされるのが一般的なので、5年ごとに金利のみなしをおこない、必要に応じてローンの借り換えを検討するなどの必要が生じるかもしれません。
これから住宅ローンの利用を考える場合、将来的に金利上昇が予想される局面では一般的に固定金利が有利とされているものの、固定金利と変動金利では当初の金利設定ですでに数値に差があり、変動金利の方が有利であることがほとんどです
ですから今後の金利変動の予想をしつつ、細かい予想のもとで精査する必要が出てきそうです。
また事業者の方への影響も無視できません。
金利上昇で事業資金が借りにくくなることも予想されますから、将来の資金繰りに問題がでないか、中長期的に見立てをしておいた方が良いかもしれません。
ガスや電気などエネルギー価格の上昇も予想されるところ、賃金と物価の正の上昇スパイラルがうまくかみ合うことで望ましい経済発展が進むことを期待したいものです。
まとめ
この回では2025年当初の経済事情を見ながら、私たちの足元でどのようなことが起きるのか予想してみました。
経済の予想はなかなか難しいものですが、足元の事情を見れば日銀の政策が大きな影響を及ぼしますから、この動向を注視していくことが大きなポイントになります。
金利上昇は大きなトレンドですから、今後も引き続きその影響を注視していきたいと思います。
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