変化の激しい現代においてはビジネス環境も刻一刻と変化し続けています。
企業が利益をだして社会の中で生き続けることのハードルは昔より上がったなという印象があります。
社会の変化に対して柔軟に対応するため、その時代時代で組織開発の手法が生み出されてきましたが、近年はチームビルディングという言葉が浸透してきています。
この回ではビジネス領域におけるチームビルディングとはどういうものか、重要性や手法などについて解説していきます。
■チームビルディングとは
初めにチームビルディングがそもそも何なのか、概念や定義について簡単に押さえておきます。
直感で何となくのイメージは付くと思いますが、一人の力ではできないことを成し遂げるためのチーム作り、またそのようなチームを作り上げるための組織開発の手法のことをいいます。
一般的にチームと言えば、例えばスポーツの世界ではチーム構成員は仲間であると同時にライバルでもあり、「あいつより俺が上にいくんだ」というような競争心があると思います。
ビジネス領域におけるチームビルディングは少し違い、相手を蹴落として自分が良いポジション勝ち取るということは考えず、むしろ相手の弱点を自分の利点で補い、自分の弱点を他者に補ってもらうような助け合いの考え方があります。
会社の生き残りをかけた戦いにチームの総力戦で挑むようなイメージですね。
そのような組織力の強いチームを作ることがチームビルディングという考え方です。
■チームビルディングの目的やメリット
ではチームビルディングを行う目的や会社側からみたメリットを見てみましょう。
①社員の心理的な安全性を高める
個々の社員は会社の中にいても様々な心配事を持っています。
自分はいつまで勤められるのか、左遷されることはないか、会社の役に立てているだろうか、など口には出さなくとも心の中では心配しています。
弱音を吐ける、心配事をお互いに話し合える関係を築くことで、不安が無くなり安心して仕事に向かうことができるようになります。
競争相手ではなく信じあえる仲間だからこそ、安心して付き合うことができるわけです。
②モチベーションの向上につながる
心理的な安心感が確保されることで、社員のモチベーションは自然に高まります。
失敗を責められるようなこともなくなるので、会議などでは積極的に意見を出し合い、より良い選択ができる可能性が広がります。
また個々の社員の特性を生かし、得意とする分野の仕事を任せることで成功体験が積まれ、自信を持てるようになります。
「この分野のことなら任せてください」と自信を持てる分野ができれば、自分がチームに貢献している実感が持て、これがひいては会社への貢献にもつながります。
③リーダー層を育成できる
チームの運営にはリーダーとなる者の手腕が大きく影響します。
複数人の人員をまとめて組織を動かす難しさや楽しさ、やりがいを実感してもらうことで、将来の管理職候補となり得る人材に育ってもらいます。
④人材の流出を防ぐ
個々人のモチベーションが上がることで、この会社で働くことの楽しさを実感してもらえますから、安易な転職や離職は考えなくなります。
会社としては人材の流出を避けられ、余計な採用コストや育成コストを避けられます。
⑤会社の利益創出につながる
そして何より個々の社員のやる気があがり、さらにチーム全体として生産力が飛躍的にあがりますから、会社の利益創出が大きく改善します。
ビジネス領域におけるチームビルディングの最大の目的はここにあると言って良いでしょう。
■チームビルディングのための手法
チームビルディングを行う方法はいくつかあり、通常はこれらを組み合わせて徐々に社員間のシンクロを図っていきます。
①ワークショップ
参加者が主体的に行動する体験型の講座、あるいはグループ活動などです。
メインのテーマは仕事に関係することでもいいですし、全く関係ないことでも構いません。
構成員同士が意見を出し合い、衝突や妥協を経て最終的な成果を出すための創意工夫が試されます
②社内イベント
近年は社員旅行などのイベントを敬遠する風潮がありましたが、ここ最近は若い年齢層の社員から逆にイベントを期待する声も多く聞かれるようになっています。
関係の希薄化で心理的な安心感を感じられないことに不安を覚えていたのかもしれませんね。
イベントは大きなものでも小さなものでも構わないので、仕事から離れてプライベートの話題も気軽にできるような関係を築けるイベントを企画してみましょう。
③スポーツやゲーム
スポーツもチームビルディングに有効です。
自チームの力を結集して相手チームに勝つには協力し合わなければならず、自然と自分の役割を意識して全力を投じる姿勢を持ちます。
仲間と協力し合って目的を達成するゲームも有効です。
チームビルディングに相性の良いゲームは色々あるのでぜひ探してみてください。
■チームビルディングの形成段階
こうした活動を通してチームビルディングを行う過程では5つの形成段階を観察できます。
①形成期
チームが作られたばかりの時期で、まだお互いのことを知りません。
相手の性格や能力などを測れず、様子見をしている段階です。
②混乱期
少しずつ相手のことを知る中で、意見の衝突が起きる時期です。
社員同士は一時的に居心地が悪くなるかもしれませんが、観察者目線では形成期を超えて次のステージに進んだと理解できます。
③統一期
意見の衝突を乗り越え相互の理解が進んで秩序が形成される段階です。
相手の理解が進み、チーム内での自分の役割や立ち位置を理解するようになります。
④機能期
チームの成熟が進み組織として最も力を発揮できる段階です。
それぞれの強みや弱点を理解し、足りない部分を補い合ってチーム全体として最大のパフォーマンスを発揮できるよう、社員一人一人が自然と考え、行動できる段階です。
⑤散会期
チームが役割を終え散会する時期です。
プロジェクトの終了や人事異動などでそれぞれ別の道を歩むことになります。
それまで得た経験は新たなチームに配属された時に大いに役立ちますし、仕事を離れた場面でも人とのかかわり方や望ましい関係の築き方を模索するベースになります。
■まとめ
この回ではビジネス領域におけるチームビルディングについて見てきました。
チームビルディングは個人が持つ力をチームとして結集し、個々人の能力を最大限に発揮してもらう環境を整えるためのものです。
チームビルディングを行うことで社内の雰囲気が良くなり、雰囲気の良い会社は本業でも良い成績を出せるようになります。
自社の組織にあった方法を探りながらチーム作りを考えてみましょう。
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