今年の夏が始まるくらいの頃だったでしょうか、ニュースで「米が買えない」という話題が聞こえてきて驚いたのを覚えています。
お米は日本で唯一食料自給率が安定している食品ですし、むしろ米余りが問題になっていた印象があったからです。
しかし実際に市場ではお米の流通が不足して混乱しているということですから、その理由や原因も気になります。
本章では令和の米騒動が起きた理由や今後どうなるのかについて考えてみましょう。
■日本のコメ政策はどうなっている?
本題に入る前に、我が国の米生産にかかる政策がどうなっているのか簡単におさえておきましょう。
わが国ではかなり以前から米余りが指摘されており、かつては積極的な減反政策が行われていました。
減反政策は現在廃止されていますが、国内の米の需要よりも生産量が多くなりすぎると受給バランスが崩れ、米の過度な値下がりなどの問題が生じます。
そのため国は米の生産調整を図る政策をとっており、これにより米農家の方の生活の維持と国民の米需要との調整が図られるようになっています。
最近は世界情勢などの影響を捉え、食糧安全保障の観点から食糧自給率の低さが改めて問題視されるようになっています。
お米は日本が自力で生産、供給できる唯一の食料とされていますから、国全体にとって米の流通に支障が出ることは大きな問題となり得るものです。
■コメが買えない?令和の米騒動
そんな中で起きた今回の米騒動ですが、小売店など現場では不足感がかなり強く出たようです。
ある小売店では1kgあたり100円ほど値上がりしているとか、仕入れが叶わない状況になっていて購入数を制限する所もあったようです。
消費者の方はせっかく買いに来たのに棚が空っぽで買えなかったという人もいました。
特に小規模の小売店で不足感が強く出たようで、スーパーなどの大型店と比べて欠品が目立ちました。
今年5月後半の業界新聞の調査では、十分在庫の確保ができていると回答した事業者の割合が24%であるのに対し、在庫が数カ月しか持たないと回答したのが46%、在庫がなくすぐにでも不足が出ると回答したのが30%と、不足感が強く出る結果となっています。
2022年頃から米の取引相場も上昇を続けているということで、現場では米の急騰現象に困惑しつつ、今後の米相場についても不安の声が聞かれました。
■米不足の原因は?
今回の米不足の原因は大きく二つあるとされています。
一つは昨年の猛暑の影響で、2023年の作付け時に猛暑が続いたため、米の生育が悪く生産量が減っていたという事情があります。
そしてその少ない供給に対し、今年2024年はコロナが落ち着きインバウンド需要が活気づいていて、海外からの旅行客が日本で食事をする際にお米を食べる機会が多くなり、米需要が増したからというのが理由として挙げられています。
海外客がそれほど米の消費を爆上げしたのかと驚く一方で、それほど多くの外国人が日本に来ているということなのだなと思った次第です。
■米の需給はどうなる?
さて今回の米騒動が今後どうなるかについてですが、現在のところ騒動が広がり大きな混乱が出ているというニュースは聞こえてきません。
一部ではまだ影響はあるものと思われますが、農水省によれば国内全体としては米不足となっているわけではないとして、落ち着いた対応を呼びかけています。
さらに今年2024年分については主要な米の生産地で作付けを拡大する意向があるとされ、生産量は昨年よりも増える見通しです。
今回の米騒動は短期間のスポット的なものであるとの見方が強く、不足が長く続いて大きな混乱をもたらすという予想は聞かれません。
消費者目線では値上がりや品不足の影響が今しばらく続く可能性はありますが、食糧難のような事態にはならないと考えられているので、買い占めなどに走る必要はないでしょう。
■お米回帰の起爆剤となるか?
近年は様々な理由で食品類が値上りを続けています。
特に輸入に頼る品はコストの面からも値上がりが強く出ているのが現状です。
このような状況下では、国内で安定した生産ができ、輸入コストもかからないお米は優秀な食糧に位置付けられます。
だからこそ国は適正な農地を確保するための農地政策を行っているわけですが、消費者としてもお米の優秀さを実感しやすい状況です。
輸入に頼る小麦製品の値上げはこれからもしばらく続くでしょうから、日本人のお米回帰のムーブが起きるかもしれませんね。
■まとめ
本章では米不足による騒動が起きた理由や、この騒ぎが今後どうなるのかについて考えてみました。
今回の米不足は昨年の猛暑とインバウンド需要が大きな原因とされていて、国内全体の米の需給でみれば不足は長く続くものではなさそうです。
しばらくすれば落ち着くと考えられるので、買い占めなど過度な対応は慎んで見守るようにしてください。
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