私たち個人の生活状況を見れば、足元では物価高が生活を圧迫していると感じる人が多いのではないでしょうか。
生活者の目線で見れば物価高騰は確かに苦しいものですが、今後の物価上昇はどのように推移する予想なのでしょうか。
本章では今後のインフレ基調の推移を予想するとともに、個人や事業者目線でできることを考えてみたいと思います。
インフレ基調はほぼ確実視される
アメリカではトランプ政権が始動し、すでに関税抱が火を噴いてカナダやメキシコと衝突、さらに中国にも10%上乗せ課税で報復措置プラスWTO提訴などの話題も出ています。
アメリカ国内でもインフレ予想が強く出ていますが、日本国内でもインフレ基調が確実視されており、この流れはまず間違いなく進むものと思われます。
インフレが確実視されるのは多くの要素がこれを示唆しているからで、海外情勢に絡むエネルギー価格の上昇や国内における賃金の上昇圧力、円安による輸入コストの増加、原料価格の高騰など多岐にわたります。
今後のインフレ進行に関して全体的な流れや状況を見てみます。
政府の抑制策縮小の反動を懸念
急激な物価高は国民生活を強く圧迫するため、政府は物価上昇を抑制すべくいくつかの政策を講じてきました。
電気ガスなどの生活インフラの料金上昇を抑制する施策や国全体の経済にも大きく影響するガソリンの負担軽減策などを講じてきましたが、これらの支援策は大きく縮小されます。
エネルギーに関しては我が国はかなり弱い立場ですので、海外の紛争要因が早く終着してもらいたいと考えますが、なかなか終わりが見えません。
強権トランプ氏の就任でロシア・ウクライナ紛争やイスラエルとガザの紛争の早期終結の期待もありましたが、現段階では関税戦争の火種が切られたばかりで両紛争への大きな切込みは見られていません。
少しでも早く情勢が落ち着いてエネルギー価格の安定が見られることを期待します。
一方、生活者目線は食料価格にも大きな視線が向くところで、海外からの輸入食材は調達コストがかさんで消費者に提供される段階で割高感が否めません。
目下のところ、輸入品の価格は下落要素無しでむしろ上昇の兆しが見られます。
エネルギー価格高騰による輸送費の純粋な上昇もさることながら、個別の製品ではカカオの高騰でチョコレート製品が店頭で品薄になる事態も発生しています。
コメに関してはとうとう備蓄米の放出が決定しましたが、食料品は流通の問題も絡むのでこのコントロールが欠かせません。
食料品の価格上昇は今後も多種品目で予想されるので、生活者目線では負担感は減ることは無いでしょう。
為替の影響がなお続く
多くのモノを輸入に頼る日本は為替の影響を大きく受けます。
円安は輸入面でコスト増となり、これがかなりの負担となっていました。
特に対米ドルでの影響が危惧されていますが、トランプ政権は基本的に円安ドル高を是正する姿勢です。
この面では期待が持てていたのですが、実際のアメリカ金融政策をつかさどるFRB(米連邦準備制度理事会)は直近で利下げを行わない決定をし、ドル高抑制の機運が削がれました。
アメリカ経済の顔と言えばFRBが有名ですが、実際に政策を決定する実務機関は米連邦公開市場委員会(FOMC)です。
日本でいう政策金利であるフェデラルファンド(FF)もこの機関が実質的に決定しています。
FOMCはFRBの全理事とニューヨーク連銀総裁、これに加えて全米地区連銀総裁の中から4名が交代制で参加する協議体です。
アメリカの重要な雇用統計の一つである失業率が低水準であることなどを受け、FOMCはトランプ氏の意に反して利下げを一時ストップする姿勢を取りました。
このため円安ドル高の是正もうまくいかないこととなり、いまだに円安状況が変わらない情勢です。
これにより日本の物価高も引き続く見通しとなっています。
インフレへの対応は?
物価高における個人の生活防衛は基本的には消費抑制となる事が多いと思いますが、日本経済全体を考えればぜひ投資の意識をもちたいものです。
金投資はインフレ時の安全性が高いことで有名ですが、不動産も物価変動の影響を受けにくく、インフレで家賃が上昇するためインフレ時の保有資産としてお勧めできます。
不動産は不動産登記の仕組みがあるので安心できる資産です。
事業者はディマンドプルインフレに期待がもてるかもしれません。
ディマンドプルインフレは需要が増すことによって起こるインフレで、つまりはモノを買いたい人が増えて需要が追い付かない状況を指します。
以前はコストが増すことによって品目の高騰が進むコストプッシュインフレが起きたため問題視されましたが、需要増によって起こるディマンドプルインフレは好ましいインフレとされます。
賃金上昇による需要増によってディマンドプルインフレが進めば事業者にとって好ましい状況になります。
まとめ
本章では2025年当初のインフレ基調について予想も兼ねながら見てきました。
賃金上昇と並んで物価上昇の正のスパイラルが進めば、海外勢に対する経済競争力が増すことになるので、インフレ基調は必ずしも悪いことではありません。
ただ生活目線では負担感が出るのは確かで、現状では今後もインフレ基調が続くことが確実視されていますから、私たちはそのつもりで生活や事業の維持を考えていく必要があります。
アメリカのトランプ政権の動向も踏まえ、2025年の経済動向からは目が離せませんね。
この記事へのコメントはありません。